11、溢れる気持ちと ページ11
『はぁ……めんどくせぇ』
「えぇ?」
松田の心底呆れたような声に、いつの間にか滲みかけていた涙が引っ込む。
そうだよなぁ、29にもなってうじうじして……まじ面倒臭いわ。
「ごめ…」
『あいつ、好きでもねぇ女をデートに誘うほど暇じゃねぇだろ』
「ん?うん…いや、だから……私と出かけること自体が冗談で…」
『そんな悪趣味な嘘を平気でつく奴だと思ってんのか?』
「う……」
『Aが知ってる " ゼロ " はそういう最低なヤローか?』
思わず言葉が詰まる。
降谷は意地悪を言う事も多いけど。……他人の気持ちが分からない人間じゃない。
優しい奴だって、私はよく知ってる。
……知ってる、けど!!
デートだとか言ったのは " トオルクン " だし。
やっぱり私とデートしたいなんて絶対おかしい……何か裏が…いや、でも………でもでも…
答えの出ない不毛過ぎる考えが頭を駆け巡る。訳が分からなくて熱が出そうだ。
「うぅ、まつだぁ……」
『んだよ』
「降谷の事考えてたら気持ち悪くなってきた」
『あ?ただの車酔いだろうが』『その言い方は降谷ちゃんが可哀想……く、ふふ、』
「笑うな萩原」
あーもうだめだ、調子狂って仕方ない。
ため息を零しながら顔を上げて、ギョッとした。
「っ!」
やばいやばい!!!
パツキンが!!戻って来てます!!!!
『つーかお前、ゼロのこと好…』
「…ちょ、やばい!!一旦切るわ!!またね!」
『は?おい……』
すぐに通話終了をタップして、スマホをカバンに仕舞った。
別に悪いことしてた訳じゃないのに、我ながら動きが怪しすぎる…
その直後、運転席のドアが開いてピクリと肩が揺れた。
「おかえり…」
「悪い。待たせた…お前、顔赤…」
「あ、赤くない」
「いや、真っ赤だけど」
「赤くないって……!!」
「熱でも出たか?やっぱり体調悪…」
「……っ、触んないで」
パシっと音を立てて、額に伸ばされた彼の手を反射的に払い除けてしまった。
決して触られたくなかった訳じゃない。今まで押さえ込んでいた降谷への好意が一時的に溢れて、頭がおかしくなりそうだったから。
とはいえ、私もほぼ無意識の行動で。「あ」と思った時にはもう遅い。
驚いたような表情をした降谷は、すぐに眉間に皺を寄せた。
…キレてます?
「…ごめ、ん…っ、つめたぁぁ!!!」
頭を下げて恐る恐る謝罪した直後、首にヒヤリとした物が当てられて飛び上がりそうになった。
……ペットボトルですか。
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re(プロフ) - 樹菜さん» 樹菜さん、有難いお言葉、本当にありがとうございます(;-;)とっても嬉しいです!なんとか完結できるように!のんびり頑張りますので、ぜひ今後もお付き合い下さい(*^^*)寒い日が続きますが、樹菜さんもご自愛くださいね✨ (2022年12月24日 7時) (レス) @page11 id: 6b9303296e (このIDを非表示/違反報告)
樹菜(プロフ) - この作品すごく楽しみにしてるので、消さないで欲しいです(т-т)ゆっくりでもいいので更新楽しみにしてます!!ここ数日寒いのでお身体に気をつけて頑張ってくださいね( *´꒳`*) (2022年12月23日 15時) (レス) @page26 id: d9d95eb8b3 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 樹菜さん» 樹菜さん、またコメントありがとうございます…!✨他の作品も読んで下さっているのですか…!わー!本当に嬉しいです…😭✨ありがとうございます!完結目指して、これからも更新頑張りますので、是非最後までお付き合い下さい!(*^^*)✨ (2022年12月11日 6時) (レス) id: 6b9303296e (このIDを非表示/違反報告)
樹菜(プロフ) - 更新ありがとうございます!reさんの他の作品も楽しく読ませて貰ってます!このお話大好きなのでこれからも待ってます!! (2022年12月10日 18時) (レス) @page20 id: d9d95eb8b3 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 樹菜さん» 樹菜さん、コメントありがとうございます!✨久しぶりの更新になってしまって、本当にすみません💦久々すぎて需要も無いかなと思っていたので、本当に嬉しいです…!励みになります😭✨更新頑張りますね! (2022年12月6日 6時) (レス) @page15 id: 6b9303296e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:re | 作成日時:2022年6月30日 13時