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29、炎上を悟る彼女 ページ29

「あれ?安室さん?」

『炎上しちゃう!』と繰り返しながら僕から離れようとするAの手を、笑顔で握り続けていた時。

不意に声をかけられて、視線を上げる。


「やぁ、コナン君。少年探偵団のみんなも、こんにちは」

この子達がいる、ということは。
保護者は…例の " 博士 " とやらか。もしくは、蘭さん達か?


「あれ?そのおねぇさんは?…あ!手繋いでる!」


流石にAが可哀想かとも思ったが、手を繋いでいる所は既に見られていて。

今更、取り繕っても遅いのなら。
まぁ。何をしたって構わないか…と、すぐに気持ちを切り替えた。


「安室の兄ちゃん、デートか?」

「うん、そうだよ」
「いいなー!彼女さんいたんだね!」

「ち、ち違うよ?!…あむぴ…ッ、早く手…!離して…!」

Aは本気で焦りながら、涙目でそう訴えてきた。
炎上したら、僕が対処しておくから大丈夫だよ。

…だから、好きにさせて?


「あはは、何恥ずかしがってるんです?本当、可愛いなぁ」

「ば…っ!!ばかですかーー?!」

僕から本気で逃げようとするAの手を引いて、強く抱きしめた。


「アァァァ?!?」

流石。
全く可愛くない声だ。

身体を許す相手に抱きしめられたとは思えないな。


ふわりと。
いつもとは違う、甘い香水の匂いがして。余計にAを離したくなくなる。


「あ、安室さん?お姉さん、すごい嫌がってない…?本当にデートなの?」

「もちろん、デートだよ?コナン君。そう見えない?」
「ハ、ハハ…」


コナン君なら、 " あの組織 " に潜入している僕と一緒にいる見知らぬ女性に対して、もっと危機感を持ちそうだけど。

どうやらAを見ても、いつもの " 詮索好き " はそこまで発揮されないようだ。


それはそうと。
……これ以上、彼女に意地悪をしすぎるのも良くないな。

Aの身体は抱きしめたまま、
『僕の彼女はシャイだから、デートのことは内緒にしてね』と、子供達にお願いをした。


直後。


「あ!みんな、ここにいた…どんどん先に行っちゃうんだから……あれ?!安室さん…!デートですか?!」

「あら〜?こんな所で抱き合うなんて、ラブラブねぇ!」


「あ…」

保護者は蘭さん達だったらしい。
つまり。Aが常々、1番恐れている…『女子高生』だ。


僕の腕の中にいるAに視線を移すと、今まで暴れていたのが嘘のように…大人しく。
まるで、確実に炎上を悟ったように、そっと目を閉じて震えていた。



……ごめん。

30、香水→←28、デート



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真実(プロフ) - reさん» どの小説も読みやすかったです。一目惚れのお話は読んでいてこんな一目惚れの仕方もあるのかと感心しました!リクエストの件、ご無理はなさらずに形に出来そうであればお願いします!! (2021年8月6日 13時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 真実さん» ぇええ?!全部読んで下さったのですか…?!(;-;)貴重なお時間を私の小説に割いて頂いて…う、嬉しすぎます…!本当に幸せです、ありがとうございます(;-;)一目惚れのお話も読んで頂けて幸せです…!リクエストのお話もいずれ形にできるよう、頑張りますね!^^ (2021年8月6日 7時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - reさん» 読んでいてお互いの気持ちを考えているのが分かるのでキュン死するかと思っています(因みにreさんの小説は全部読破しております/リクエストした際に言っていた降谷さんの一目惚れの小説も読みました) (2021年8月5日 21時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 真実さん» 真実さん、コメントありがとうございます…!2人の、お互いを大切に想う気持ちを伝えられているのなら、私はとても幸せです…(;-;)とても嬉しいお言葉、いつもありがとうございます…!2人の幸せのために、続編も引き続き頑張りますね!^^ (2021年8月5日 19時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - 夢主には夢主の苦悩、降谷さんには降谷さんの苦悩と言うものがreさんの小説から痛いほど伝わってきますね。けど、それはお互いを大切に思っての事だと思うと切ない気持ちになります。続編も楽しみにしてます!! (2021年8月5日 13時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:re | 作成日時:2021年7月25日 15時

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