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16、デート先の提案 ページ16

ーー

『Aさん、水族館とかテーマパークが好きらしいですよ!』


そう、僕に言ってきたのはバイト仲間の梓さんだった。


「え?……唐突にどうしました?」


その言葉は、本当に唐突だった。恐らく、ポアロ店内からお客さんが引いた時を見計らったのだろうが、それまでAの話をしていた訳でもなく。

僕が問いかけると悪戯っぽく笑って、内緒話でもするようにほんの少し…顔を近づけてきた。

「Aさんと安室さん、何かあったのかな〜と思って……デート先の、アドバイス?」

食器を拭きながらニヤニヤする彼女。
この場合の " 何か " は、どうせ恋愛に関することだろ。


昨日、初めてAの家を尋ねて…夕食を出して貰った事を思い返しながら。
『何のことか分からない』の意思表示として、一応。首を傾げておく。

お互いの家を行き来して、一緒に食事をするが…別に付き合っている訳では無いし…。キスはしたか。

そもそも、炎上を恐れているはずのAが自分からペラペラ喋るとは思えないんだが。

「…Aさんが何か言ってたんですか?」
「いいえ!」

キッパリと言い切った梓さんは、ビシッと人差し指を立てて見せた。

「この前、仕事帰りのAさんが来店してくれた時、 " ポアロに寄る頻度が増えたのは、安室さんに会うためですか? " って聞いてみたら、真っ赤になって慌て出して」

「……」

「 " あ!もしかして、安室さんと何かありました? " ってカマをかけたら、『何もないよ?!』って叫びながらコーヒーを零してましたけど…」
「…」

あいつ……分かりやすすぎるだろ。

「あれは、絶対に何か隠してますね!」

年下の、しかも " 梓さん " にバレるなんて、相当だな。

「本当に、何もないんですよ。最近、僕が " 一方的に " 彼女をおちょくっているだけですから」
「えっ!」

「反応が面白くて、可愛いんですよ」
「あ!ですよね!!」

『分かります!』なんて、お皿を握りながら目をキラキラさせる梓さん。
梓さんも相当、男におちょくられる女性だと思うが……一応、黙っておく。



「ただ…Aさん、炎上を本気で恐れているので…」

梓さんも炎上に怯える当事者だから、その言葉にぴくりと肩を揺らして小さく震えていた。

「僕がAさんにアプローチしていることは…くれぐれも、内密にお願いします」


『 " 炎上 " ……させたくはないので。』
念を押すように、彼女の耳元で囁くと、何度も首を縦に振った。

17、騒がしいオフィスにて→←15、僕が欲しかったのは



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真実(プロフ) - reさん» どの小説も読みやすかったです。一目惚れのお話は読んでいてこんな一目惚れの仕方もあるのかと感心しました!リクエストの件、ご無理はなさらずに形に出来そうであればお願いします!! (2021年8月6日 13時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 真実さん» ぇええ?!全部読んで下さったのですか…?!(;-;)貴重なお時間を私の小説に割いて頂いて…う、嬉しすぎます…!本当に幸せです、ありがとうございます(;-;)一目惚れのお話も読んで頂けて幸せです…!リクエストのお話もいずれ形にできるよう、頑張りますね!^^ (2021年8月6日 7時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - reさん» 読んでいてお互いの気持ちを考えているのが分かるのでキュン死するかと思っています(因みにreさんの小説は全部読破しております/リクエストした際に言っていた降谷さんの一目惚れの小説も読みました) (2021年8月5日 21時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 真実さん» 真実さん、コメントありがとうございます…!2人の、お互いを大切に想う気持ちを伝えられているのなら、私はとても幸せです…(;-;)とても嬉しいお言葉、いつもありがとうございます…!2人の幸せのために、続編も引き続き頑張りますね!^^ (2021年8月5日 19時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - 夢主には夢主の苦悩、降谷さんには降谷さんの苦悩と言うものがreさんの小説から痛いほど伝わってきますね。けど、それはお互いを大切に思っての事だと思うと切ない気持ちになります。続編も楽しみにしてます!! (2021年8月5日 13時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:re | 作成日時:2021年7月25日 15時

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