デッドエンドから始まる恋もある【オリジナル】

第二話 ページ3

実際、このシェルノイズに関わらず、スターバックスコーヒー、略してスタバなども、ほとんどがカップルや家族、友人を連れて来る事が多い。もちろん僕もその一人だ。ただし友人を連れて、だが。
一人で来る事は全くというほど無い。


男性の言う事に軽く共感して、また男性に耳を傾ける。


「ははっ、ですよね」


共感された事が嬉しかったのだろうか、さっきのような困ったような苦笑いの表情から、普通に歯を見せ、ニコニコと笑っていた。


「よろしければ今度、ご自分の友人を連れてまたご来店下さい。一人だとしても、お話ぐらいならできますよ。では、あちらの席にてお待ち下さい」


6番と書かれたスタンドを渡し、人差し指と中指、薬指、小指の4本で席を指す。


「はい」と、首だけを下に下げお辞儀をして、指定した席に顎杖をついて座っていた。


今みたいに、客と話しをするというのも、立派な仕事だと、誰かから教わった事がある。さて、誰だったか。誰だったか、なんて言っても、覚えていないし、わざわざ頭をひねって思い出す程の事でも無い為、適当に自分の中で流して、今更になって精算する。


精算機には触れずに、頭の中で計算する。ダークモカフラペチーノの値段+ホイップの値段を計算するだけ。注文が多ければ使うが。ダークモカフラペチーノの値段は280円、ホイップは10円、となると、290円になる。そんな風に頭の中で計算しながら、ダークモカフラペチーノを作る。


度々精算口の方をチラリと見る。ちゃんとそこに店員はいるので、問題無い。そこにできた飲み物を届けに行く者もいた。それを確認して、また作業に取り掛かった。





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9時に店が閉まり、次々と「終わったー」と身体を伸ばしたり、あくびをしたり、同僚と話しながらロッカールームへ戻っていった。自分は何故行かないかと言うと、窓閉めと片付けの担当だからだ。別に一方的に押しつけられているとかでは無く、一週間交代で、今回は僕。というだけだ。


正直人がガヤガヤとしているところはあまり好きじゃない。だから、ロッカールームから人が居なくなるのを見計らい、わざと遅く片付けと窓閉めを始める。片付け、とは言っても特にやる事は無い。全体の掃除をサーッとすればいい。大変なのは窓閉めの方かもしれない。無駄に窓が多いためだ。だいたいは15分ほどすれば居なくなる。最初の5分は掃除をして、残りは窓閉めをすれば時間は潰れるだろう。

第三話→←第１章　事の始まりはロッカールームにて

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