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「え、そうだったんすか」
「うん。高校生の頃同級生だった人。....というか生徒と付き合うとか、先生辞めさせられるやん」
「変な噂立てんとって〜」なんて笑い飛ばせば、生徒達は「そうですよね」なんて笑いながらそれぞれに掃除を再開した。
....今言ったのは嘘ではない。
数年前に同窓会で再会して、そのまた一年後くらいから付き合っている彼女がいる。....告白されて、なんとなくOKして、なんとなくカップルっぽいことをして。
遠距離になって、先月久し振りに会った彼女に対して僕が抱いた感情は冷め切ったものだった。....自分でも嫌な奴やなと思う程だったし、きっとそのうちに別れることになるだろう。でも、まだそんな話になった訳ではないし、彼女の性格上、向こうから別れを切り出してくることはまず無い。だから嘘じゃない。
そんな誰に言うでもない言い訳を考えているうちに、生徒達は掃除を終わらせていた。挨拶もそこそこに喋りながら帰っていったその数人の会話の中身は、当然さっきの話だった。
高校生の噂話なんて、七十五日も持ちやしない。きっと数日で、この話は「Aと付き合っている」と言う噂を上書きするように学校中に広まって....
....そうして、A本人の耳にも入るだろう。
「ごめんな、狡い大人で」
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作者名:らぱん( ・×・ ) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=d9fece3f785bc7d3ebaeeecd6103e95f...
作成日時:2019年2月23日 17時