一番にはなれない【💛】 (ページ29)

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....今日も、先生との幸せな時間が終わってしまった。

先生と居る言い訳の一つに「家だと集中出来なくて」という言葉を使っている私は、大抵その日に出た課題を資料室で終わらせてしまっていた。....苦手な教科も、先生に話し掛けるきっかけにしているから寧ろ先に消化してしまう。

そうして特にすることも無く、自室で一人の私。そんな日々の娯楽は、スマートフォンで読める少女漫画や小説だった。便利な世の中だよね、動画広告を見るだけで気になる漫画が読めちゃったりするんだから。

これまであまり漫画とかは読んでこなかったけど、先生と生徒の恋愛、なんて設定は割とありふれたものらしい。

この時の先生との距離感は、そんな漫画にも似た距離感で。....ただ、それももうずっとな気がする。
漫画みたいにもっと何か....わかりやすく事件が起きたりして、進展があれば良いのになぁ。
そう思いながらぼんやりと端末を弄り、毎日少しずつ読んでいる漫画の続きを読む。

その漫画の主人公は、私なんかよりもずっと馬鹿だ。テストで赤点って、授業聞いてたらなかなか取れないと思うんだけど。
ああ、補講で先生と二人きりなんて、羨ましいなぁ....。

....あれ？私も、世界史赤点取れば、先生の補講受けられるのかな。

ふと、そんな邪な考えが湧いて出る。
幸い私のクラスは、校内ではかなり成績の良いクラスだし、前回のテストも世界史では赤点は一人も居なかった気がする。

....もしかして、漫画みたいに二人きりになれちゃったりするのかな。

前回も世界史苦手なんて嘘ついちゃったし、わざと赤点取るなんて....と、申し訳程度の良心も顔を出した。
....でも、馬鹿になりきれない私がヒロインになるには、そうするしか無いのかもしれない。

そういえば、別の漫画の女の子も＿＿悪役だけど＿＿こう言ってたじゃん。

『嘘つきだなんて言わないで。馬鹿な女は可愛く見えるのよ？
＿＿＿だから私は、演じてるの。馬鹿でかわいい女の子をね』

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