え？ 彼氏？ 普通に一般人ですけど。THE SECOND 【となりの坂田。】

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Aside

｢なりすまし犯のことは、わしらで何とかしとくわ。

そらるんにはわしから言っとくからAちゃんは一応さかたんにも報告しといて欲しい。
あとそらちゃんの公式アカウントで注意もしといてくれると嬉しいかな。

ほんまに短い文章でええから、無理せんでな｣

『う、うん、わかった…』

ぺらぺらと対処法を語るくろちゃんはとても頼もしい。

｢私、この子のこと家まで送ってく。

起床時間と就寝時間のツイートが事実と一致してないから多分盗撮も盗聴もされてないと思うけど……
一応、念の為にね。

坂田は家にいる？｣

『ううん、今日悠は月崎先輩の家でお仕事だから。
多分、帰ってくるのは深夜になるんじゃないかなあ…

あ、私独りだ…
やだな…』

深夜まで、家に1人。

どう考えても怖すぎるその状況に思わず怯える。

｢ん、分かった。
じゃあ坂田が帰ってくるまでAん家いようかな｣

『え、いいの？
ありがと…』

遠慮気味にそう言うと、美月はにっかりと笑顔を浮かべる。

｢いいっていいって。
Aは疲れてんだから遠慮しないで？｣

私の頭をわしゃわしゃと頭を撫でて、パチリとウインクをひとつ。

い、イケメンだ…

さすが高校時代にほかの男子をさしおいてイケメンランキングの上位にくい込んでいただけある。

｢え、じゃあわしもAちゃん家行く!!!

作業も終わっとるし、Aちゃん家で美味しい晩御飯食べるー！｣

『ほんとに？
じゃあ夜ご飯いつもよりちょっと豪華なのにしようかな』

｢あ、それいい。
私料理できないからマジ助かるわ｣

美月もくろちゃんもはしゃいだ声を上げる。

これで今夜眠れなくなることは無さそうだ。

『2人とも本当にありがと…
じゃあ食材の買い出し手伝ってくれると嬉しい…』

｢おけ、じゃあショッピングしたあと駅前のスーパー行こ！｣

｢じゃあ早めにショッピングモール出た方がいいよね…
それならもうそろそろショッピング再開しよっか。

その前にA、あんたお化粧直ししといでよ。
マスカラ崩れてるから｣

ちょんちょんと人差し指で目を示す美月。

『うそ、あ、ほんとだ…
ちょっと化粧室でメイク直しだけさせて』

目元を拭うと、確かにアイメイクが崩れている。

あんなに泣かなきゃよかったな。

｢ええよええよ、ゆっくりでええからこけんようになー｣

お母さんみたいなことを言うくろちゃんの声を後に、小走りで化粧室へと向かった。

背後で美月が険しい顔をしているとも、知らずに。

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