え？ 彼氏？ 普通に一般人ですけど。THE SECOND 【となりの坂田。】

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Aside

腰が痛いわ美月にバレるわ、今日は散々だ。

あんなに美月に夜の事情がばれやしないかヒヤヒヤしていた苦労は、結局悠がつけた首筋のキスマのせいで終わりを迎えた。

それはそれはあっさりバレた。

あの苦労はなんだったんだ？

悠の好きなようにさせていると必ずこうなる。

誤解して欲しくは無いのだが決して悪い気分ではない!!!

悪い気分ではないが、他人に見られると大変まずい。
化粧室で首筋にくっきりついた大量の噛み跡やらキスマークやらの所有印は我が社自慢のコンシーラーを持ってしてもなかなか消えなかった。

じんわりと痛む腰は昨日の後遺症だ。

仕事もなかなか思い通りに進まない。

しばらくぼーっとして、また覚醒するを何度も繰り返している内にもう退勤時刻に近い時間になってしまった。

しょうがない、今日出来なかった分は休日にでもやろう。

疲れが溜まっているせいで眠気もひどく、思考が半分程停止している。

もう無理…寝落ちしそう…

そうデスクに突っ伏して目を閉じる。

｢＿先輩!!!｣

だが肩を叩かれて、意識を引き戻される。

心配そうにこちらを向いているのは後輩の磯田くんだ。

その後ろの後輩たちももう帰る準備を済ませている。

『ん、ああ、ごめん、寝かけちゃってたね…

それで、磯田くんどうしたの？』

｢先輩、もしよかったら俺らと飲み会行きませんか？

齋藤先輩も部長も参加するらしいんですけど一ノ瀬先輩はどうします？｣

『あーごめんね、今日は無理だぁ…』

今日は腰が痛いので悠に送り迎えをしてもらう約束だった。

今日のご飯とか洗濯とか洗い物とかの家事全般は悠が担当してくれることになったのだ。

そそっかしい悠が家事をするのは正直不安だけど少し楽しみであったりもする。

｢え、なんか予定あるんすか？
彼氏？もしかして彼氏とか？｣

興味津々で身を乗り出して聞いてくる磯田くんに少し身を引く。

｢ばか、磯田お前失礼なこと聞くんじゃねぇよ｣

｢そうだよ、磯田くん、デリカシー無さすぎ！｣

同僚からの集中砲火を浴びて彼は軽く肩をすくめる。

それでも嫌われていないのは、彼はムードメーカー的な役割を果たしているおかげかもしれない。

『うん、まあそうだね。
今日は彼氏と用事あるから…
せっかく誘ってくれたのにごめんね…』

その時、悠から到着したという連絡が入った。

『じゃ、お疲れ様です』

そう言って急いで荷物をまとめ、オフィスを出た。

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