出会いの六年の段！！【忍たま乱太郎】 (ページ48)

今日:21 hit、昨日:161 hit、合計:175,551 hit

懐かしい月ページ48

仙蔵「まったく…明日も休みだからって
飲み過ぎだぞ」

伊作「加減してよねー」

店主「お、月が出てきた」
女将「いつ見ても、此処からやと綺麗やわぁ」

店主達の声がして伊作と仙蔵も振り返って外を見ると

空にかかっていた細い雲が流れて
丸い月がその美しい姿を現した

文次郎「今日は一段と月がデカい日だな」

留三郎「月見で一杯、ってか？」
小平太「アハハハハハハハ！」

仙蔵「月、か……」

仙蔵の独り言に伊作が「ん？どうしたの」と反応する

仙蔵「いや、前にAと待ち合わせした時の事を
思い出してな…」

伊作「Aと？」
仙蔵「アイツが祇園祭に行きたいって言ってな…」

4年生の頃…祇園祭があると知ったAは
仙蔵を誘ったが

仙蔵は当日に学園長の頼みで忍務に出ており
早く終わらすつもりだったが…

仙蔵「約束を思い出した時には4刻も遅れていた」

文次郎「それはキツイな」

仙蔵「もう待ってないと思ったが…一応、待ち合わせの
場所に行ってみたら……」

仙蔵はその夜のことを思いだしながら
ゆっくりと語り始めた

＿＿＿＿＿＿Aも怒って帰っただろうと思ったが

もしかしたら……という思いが、一瞬頭をよぎって
念のために待ち合わせした場所に向かい

祇園祭の近くに着くと、とっくに終わっていて
祭りの【ま】の字もなかった

『誰……？』

Aの声が聞こえてきた途端…雲が流れて
月が顔を出し始めた

柔らかな月の明かりが、建物の前に立っていたAと
荒い息をしながらゆっくりと近づく仙蔵を照らし出す

仙蔵「すまない、A！」

両手を合わせて謝ろうとすると
Aは『よかった』と優しく微笑んだ

『学園長の頼みの忍務で何かあったのかな。て…
心配してたの』

仙蔵「え…？」

それは思いもよらぬ言葉だった
2時間も待ちぼうけを食らったのに…怒るどころか

待ち合わせに来ない仙蔵の身を心配してくれたのだ＿＿

文次郎「ははーん。そん時だな？」

小平太「Aのこと、ただの同級生から好きな人に
変わったのは！」

2人は誂うように仙蔵を小突いた

仙蔵「ははっ、残念。当時の片想いさ」
伊作「え〜？本当に〜？」

仙蔵「今は妹みたいなものだ」

伊作「ふ〜ん？(妹、ねぇ…)」