いわゆる幼馴染ってやつ《黄》 (ページ31)

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渋谷｢ごめん彼女って言うてもうた｣

言ってしまったもんはしょうがないし
苦笑いしか出来ない

渋谷｢あと言うはずなかったんのに怒ってて口が…｣

｢いえ、別に｣

あの時、先輩が視界を遮ったのは
先輩なりの優しさで

多分見させないようにしたんかな

｢そんなの見ても聞いてもどうってことないですよ？｣

渋谷｢なんなんかなわんなぁほんま｣

頭をガジガジって無造作に弄る

渋谷｢ずっと思ってたんやけど Aちゃんって俺の前だと気ぃ使うねんな｣

｢え？｣

渋谷｢らしくないで？亮に沢山話聞いててん｣

らしくないって

そんなの見抜かれるくらい亮ちゃんはあたしのことを暴露しやがったのか！

渋谷｢おもろそうな子やなって話聞くとそんな印象やったけど、やっぱりそれは亮の前だけやねん｣

｢人によって態度を変えてる訳じゃないですよ！｣

渋谷｢意識してくれとる？笑｣

思わず頷く

先輩だからそんなふうになるんです

意識しちゃってますよ？

渋谷｢でもちゃうと思うそれ｣

｢え？｣

渋谷｢亮以外の人の前でそうなっとるんやと思うで？｣

亮ちゃん以外の人の前で？

そんなふうに気ぃ使って？

いや、違う!!
絶対それは先輩のことを意識していてのことで!!

渋谷｢きっとAちゃんが疲れる｣

いっつもそうだった
毎回付き合う彼氏とは最終的にあたしが疲れてた

そしていつも彼氏に言われた

渋谷先輩と同じようなこと

『疲れるよそんなの』って

渋谷｢素のままでいつまでも一緒におれるそんな恋愛もありとちゃうか？｣

｢亮ちゃんは好きだったんですずっと前に｣

渋谷｢今もやろ？そろそろ認めたらええのに｣

ニコッと笑う先輩

渋谷｢Aちゃんのことな? ずっと亮が話すからあぁそれだけ大事な子やなって思ってたで？｣

うそあたしに対してガミガミ言うくせに

渋谷｢まぁ会ってみたら惚れててんけど悪い男やろ？｣

｢光栄ですよ?!｣

渋谷｢でもAちゃんは見てない｣

見てない、かぁ

｢ごめんなさい｣

渋谷｢元々奪うつもりもなかったからええよ｣

よくわかんない顔してたら
先輩はくしゃくしゃの笑顔して

渋谷｢素直になったらええ｣

って優しく背中叩いてくれた

ぼーっとしてるうちに先輩の背中が遠くに見えてて

あたしの手元にあるいちごミルクはすっかりぬるくなっていた