太宰さんを撫でる。 ページ38
太「さ、帰ろう。」
ぽん、と肩に手を置かれる。
『はい。…えっと、中也さんを運ぶのに理久を出したいのですが?』
異能生命体の理久。私の体に負担はかかるが、私よりの力がある。いつの間にか眠ってしまっていた中也さんをここに置いていく訳には…。
太「置いて行くに決まってるじゃない。それにその内部下がくるよ。森さんが送るはず。」
『そうですか…じゃあ安心ですね。』
中也さんの髪をまた撫でる。
太「…え。何してるの?帰るよ?」
『部下の方々が来るまでは見ていないと。いつ敵が来るか判りません。』
太宰さんは明らかにむすっとした顔をして、私の横にしゃがんだ。そして、ん、と頭を突き出す。その行動の意味が判らず、頭にハテナを沢山浮かべる。
太「…私も撫でてよ。」
いいのだろうか…と少し悩みつつ手を伸ばす。ぽん、とふわふわな髪に手を置き、髪の流れに沿って撫でる。
太「あのね、私達は探偵社なのだよ。停戦になったかも知れないけれど、中也とは敵組織なんだ。」
末端の部下に情報が行っているかも怪しい、と彼は言って中也さんを横たえた。ふわっと外套を上にかけ、私の頭から帽子をとって中也さんの顔に置いた。ずっと手に持っていたレザーグローブも中也さんの顔の横にそっと置き、これでいいだろう、と。
太「あと数分で中也の部下たちが来る。」
私の腕を掴み、持ち上げる様に立ち上がらせる。
『…判りました。』
太宰さんは少しイライラしている?
『太宰さん。』
太「何。」
『あの…後で、太宰さんに言いたい事があるんです。』
太宰さんはこちらをチラッと目だけ向けて、前を向き直した。
太「…今は言えないのかい?」
『…雰囲気がないじゃないですか。』
太「雰囲気?」
『こんな暗い森の中で告白なんて…』
そこまで言って固まった。二人とも。
『ち、がいます!間違えました!』
太「ん?なんだって??」
ニヤニヤとしながらこちらを見てくる。大変恥ずかしい。どうにか話を変えたい、と思った時、太宰さんの包帯が目に入った。
『…そんな事より、傷、大丈夫なんですか?』
太「Aちゃんこそ。今夜、部屋で検査しようね。」
『検査…?』
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作者名:めぐ | 作成日時:2020年4月7日 18時