太宰さんの腕。 ページ34
『ど、どうしよう…私のせいだ。庇ってくれたんですよね、すみません、いやすみませんじゃ済まない…与謝野女医の所に…いや意味ない…?私なら与謝野女医の異能が通じるのに…でもとりあえず止血を
……あれ?』
血が出てない…?
太宰さんは顔を歪めながら左手を私の方に伸ばす。その手を掴み、自分の頬に当てた。そして話し出す太宰さんに耳を傾ける。
太「死ぬ前に…聞いてほしい事が…」
中「な…っ何言ってやがる!手前がこんな所で…」
ぽっ、と右手を出す。右手を。
太「ばあ。
怪我の身で戦場に出るならこの程度の仕込みは当然だよ。」
取られた「腕」の部分には何も入っていなかったのだ。元々腕を体の中に畳んでいたと…。
パッと彼の手を離す。
…ちょいちょい右腕(ただの包帯)動いていましたよね…?
まあ太宰さんなら何も入っていない包帯の塊を動かすくらいできるのでしょうね。太宰さんを普通の人間と同じに考えたら負け…。
中「手品してる暇があったらあの悪夢をどうにかする作戦を考えろ!」
太「いやあ無理無理。Aちゃん、一人邪魔者がいるけどやっと心中だ!
もう残った手は「一つしかない」からね!」
中「一つって…「汚濁」をやる気か?」
『汚濁?』
太「私達二人が「双黒」なんて呼ばれ出したのは「汚濁」を使い一晩で敵対組織を建物ごと壊滅させた日からだ。」
『双…黒。』
何かの資料でまた事がある。ポートマフィアで最強の二人。元々情報は少なかったが、四年前程から全く情報がなくなっていた。それは太宰さんがポートマフィアを抜けたから、という事でしょうか。
太「ただし、私の援護が遅れれば中也が死ぬ。選択は任せるよ。」
死…?
「汚濁」とは一体?
中也さんと一瞬目が合う。
中「選択肢任せるだと?手前がそれを言う時はなあ…何時だって他に選択肢なんか無えんだよ!」
彼は意思を固めた様子で、私に持ってくれ、とレザーグローブを渡して帽子を被せてきた。こちらに背を向けて歩き出す。
中「後で覚えとけ、この陰湿男!」
太「頑張れ単純男」
中「女の敵!」
太「双黒(小)」
中「誰が(小)だ!」
『よくそんなにポロポロ思いつきますね…』
太「Aちゃんへの愛も沢山語れるよ。さっき私の為に取り乱した姿さえ愛おしいよ。」
『はい。』
太「んん、冷たいのもいいねえ。」
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作者名:めぐ | 作成日時:2020年4月7日 18時