太宰さんの告白。 ページ20
彼の顔は今にも泣きそうな…
『太宰さんは、ポートマフィアに…戻らないですよね?』
太「当然だよ。」
『…なら、私も探偵社にいます。ずっと太宰さんの傍に、いさせてください。』
太「…」
彼は潤んだ瞳を大きく開けて少しの間固まった後、にこっと笑った。涙が弾け、彼をキラキラと彩る。
太「それは告白かい?」
『えええ!?そ、そんな、告白…なんて…』
…あれ?これは告白なのかな…?
そう思った瞬間、ドッドッドッと鼓動が大きく、早まった。
太「ふふ。可愛いな〜もう。」
太宰さんは一歩分私との距離を縮め、頬から耳の後ろまでを彼の手で包んだ。そして額を合わせて擦り付ける。
彼の顔を見ると、これまでに見た事の無い幸せそうな笑顔。
そんな顔を見て思わず私も嬉しくなり、ふふ、と声を漏らす。
私もおずおずと両手を伸ばし、彼の頬を優しく包む。
太「ふふ、暖かいね。」
『暖かいです。』
太「ねえ、Aちゃん。私の事、好き?」
『勿論好きですよ。永遠に太宰さんを推します。』
太「そうやって誤魔化さないで?
もう、気付いてるんでしょ?
…私は君が好きだ。恋愛感情をもっている。」
『…』
笑顔が消える。ここ数日出始めた疑惑。私は太宰さん「推し」ではなくて、太宰さんが「好き」なのではないか。
正直恋愛なんて判らない。以前付き合った人とも、「恋」や「愛」が判らなくて離れる結果となってしまった。
…その彼が色々とやばい人で「恋愛」というものに目を瞑らなくてはならなくなった、というのもあるのだが、その話はまた今度。
『私は、太宰さんが好きですよ?でも、やっぱりまだ、この気持ちに気付くのはこわい。
もう少しだけ、気付かないふりをしていてもいいですか?私の、推しでいてください。』
緊張によって彼の頬に添えた手から温度が消え、少しだけ震える。
彼は私の頬から手を離した。
終わってしまった、と、私も彼の頬から手を離す。
が、私の右手を彼は拾い、自分の胸、心臓部分にあてた。自 殺未遂を繰り返す彼の心臓がちゃんと動いている、ドキドキと生きている事を大きく主張する。
太「私は辛抱強くはない。痛いのも、苦いのも、苦しいのも嫌いだ。
だから…いつでも準備はできてるから、
早めに返事をおくれ?」
さあっと優しい風が太宰さんの髪を撫でた。
__私は酷な事を強いているのかもしれない。
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作者名:めぐ | 作成日時:2020年4月7日 18時