塗りたくった不安定な情緒 ページ13
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記憶されている日の天気は、いつだって晴れていた。どんなに胸が張り裂けそうな思い出も、残酷なくらいに太陽が活発だなんて、実に皮肉な話である。
遥か遠くの方で不安がっている雨雲が、世界のどこかでは泣いている。それはまるで、部屋の隅で寂しく肩を震わせる昔の自分のようだったと、そういう風に夢に出ることもあった。
──……入学式の日。普段にも増して眩しかったあいつを不意に拝みたくなって、勝手に屋上へと抜け出した。フェンスに囲まれたそこは、堂々と咲き誇る桜の木さえも見下ろせる場所で優越感を拾い集めることができたが、広さを理解した瞬間に雨が降る。傘を差す暇も余裕もなくて、声を出した。
「…………さん、Aさん!聞いてるの!?」
「A!呼ばれてるよ!」
「──ぁ、」
重たい瞼を押し上げると、似合っていない赤リップでテカテカした唇から怒りを発している教師が居る。どうやら睡魔に夢の世界へと誘われていたようで「スイマセン、」と心にもないことを吐いた。ぷりぷりと怒気を顕にしているその人の後ろ姿は目も当てられなくて、思わず口角が上がってしまう。
「(その短さのスカートは色んな意味でキツいって)」
倫理の授業で善と悪を説く彼女は、目先のことに囚われて今を見えちゃいない。香水を頭から被ったような甘ったるい匂いを生徒を前に振り撒いて、封じたはずの過去を振り返った私よりはマシだと威張るか?
「あとで職員室に来なさい!」
「げ……、」
嘘を嘘だと知りながら嘘だと偽ることのしない私と、勘違いも甚だしい正義感を振りかざす偽善者の絡みなんて、それこそ見てられないって。吐き気を誘うエゴイズムに人生を左右されている教師は、赤い眼鏡をくいっと直した。
さて、これで何度目だろう。晴天への憎しみを強くさせたのは。
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こころ(プロフ) - 言葉遣いや、主人公ちゃんの気持ちの表現の仕方がすごい好きで、読んでいて面白いです。ゆっくりで良いので更新待ってます! (2020年9月30日 20時) (レス) id: efbab0acfd (このIDを非表示/違反報告)
小笠原@銀トッキー - この主人公のノリ、好きです!更新頑張ってください (2020年5月27日 12時) (レス) id: d7fcd729d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:堕天使 | 作成日時:2019年9月20日 20時