妹じゃなくて

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ごめんね


怖かったよね


勇気いったよね


こうやって本音ぶつけるの


気付けなくてごめん


言わせちゃってごめん







「、、、ごめんっ」


歯をくいしばる強さが加減できなくて
少し巻き込んだ下唇の内側から血が滲む


次の言葉が出ない、出せない


こんな俺が言っていいことじゃないから


ただ黙って俯くしかできない






「、、だからさ、そういうのが嫌だって言ってるの


思ってること言ってよ知りたいんだよ




、、、優しすぎるんだってば」






祐基の手じゃなくて自分のコートの裾をきつく握る手が冷たく痛む


ちゃんと伝わってるかな


言葉を選んで言ってるつもりだけど
話し出すとずっと我慢してたものが全部溢れ出ちゃって
今さっき自分が発したことすら覚えていない






、、勘違いされるかもな


自分すらうまくできていないことを祐基に求めて


でも、自分勝手なの分かってるけどどうしても伝えたいから


これで私のこと嫌うような人じゃないって信じてるから


これから先もまだまだ一緒にいたいから






、、、、お願い、届いて









2人の間の沈黙は鬱陶しいくらい長く続いて


でも、それを払いのける決意をするには時間が足りない


このままずっと声のない時間が続くような気すらしてくる









「、、、ごめん、もう帰るね」









きっとまたしばらく会えないな




今度はもっと長い時間




何日だろう何週間かな、いや何ヶ月、もっともっと長いかもしれない




いっそのこともう会えなくなるかもね




でもそれは必要な時間だと信じて




これからまた絶対会って2人で、、




いいや、そんな期待しないでおこう









でもまだ諦めきれなくて


じゃあねなんて言いたくなくて


最後にしたくなくて


「またね」


ほんの少しの期待を3文字に託す







ー







1つ深い呼吸をして


ドアノブに伸ばしたはずの手は


暖かさに包まれていた

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