：つづき（１） ページ5
施設に入りたての頃の私は荒れていた
いや、決して暴力とかじゃなくて
気持ちの面ですさんでいた
知らない場所に
知らない大人
知らないこどもたち
不信感でいっぱいだった私は、
人好きしそうな顔でにっこりと笑いかけてくれるお姉さんにどんなに優しくされても全く安心はできず、
いっしょに遊ぼうと誘ってくれるこどもたちも無視してひとり外のベンチに座りこんでいた。
そんな私にすぐに誰も寄り付かなくなった
ある１匹をのぞいて
それは変な頭をした
人型のへんてこりんな生き物だった
キツい言葉で追い払おうとしても、
ヘンテコなそいつはいつも傍にいて
ときどき背中をさすったり、
笑わせようとパントマイムを披露してくれた
バリバリと鳴き声までヘンテコなそいつは、
私が養子に引き取られるまでの数週間ずっと私から離れなかった
里親が見つかって施設から出て行く日
いつもは心配そうな顔をして私を見るヘンテコなそいつは、その日だけはいつもと違っていて
口を顔の端にまでくっつくんじゃないかってくらい引きのばしてて
笑っているくせに泣きそうな顔をしていた
そんな姿をみてたまらず私は抱き着いて、ヘンテコなそいつの腰に巻いてあるエプロンに顔をうずめた
しがみつくようにして離れない私をそいつはエプロンごと引き離し、里親の方へ行くようにと背中を押した
後ろ髪を引かれたが、
そのまま車の後部座席へと乗り込んだ
後ろの窓を見れば、ヘンテコなあいつは
パントマイムをしてばいばいと手を振っていた
車はすでに走り出していて
聞こえるか分からなかったけど
窓から乗り出すようにして顔を出し
大声で叫んだ
｢ありがとう｣
なんども
あいつの姿が見えなくなるまで、なんども
手元にはあいつのエプロンが
薄むらさきの花がプリントされた可愛いそれは、
家に着くころにはびっしょりと濡れてしまっていた
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D - 仕事で疲れてたからかな？エプロンごと引き離し〜で凄く泣きそうになってしまった(T . T) (5月19日 21時) (
レス) id: e1459171f3 (このIDを非表示/違反報告)
ソウルズ(カービィ)LOVE(プロフ) - はじめまして！この作品、世界線(？)が大好きです！トリップものって、普通はその世界を楽しむ線でストーリーが進んでいくのに対して、この作品は元の世界に戻ろうとするストーリーが新鮮で大好きです！ (2021年8月9日 22時) (レス) id: 604407214b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふっとう | 作成日時：2020年12月21日 19時
