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外伝【弐】 任務の後 ページ41

嬉しそうに頬を緩めるAに、炭治郎も吊られて笑う。先ほどまでの悲しい匂いが、一瞬で優しい温かな匂いになったから。
そして、部屋の外でこちらの様子を伺っている、彼女とよく似た匂いの人物も、どこか嬉しそうだ。

「じゃあ、僕たちはこれで」
「ええ、ありがとう。また来てね」

控えめに手を振る彼女だが、その言葉は本心なのだと思えるほどに、幸せそうな笑みだった。
背後から殺気にも似た、マグマのような怒りの匂いを感じ、炭治郎は、なぜ彼がこんなにも怒りを露わにしたのか疑問だった。それもそのはず、これは彼の独占欲からくる怒りなのだから。

「Aさんは、寂しがってましたよ。煉獄さんが来てくれないからって」

部屋の前で、壁にもたれかかっていた人物に声をかけると、炭治郎は禰豆子の手を引いて、友人たちの元へと戻って行った。
意を決したように、彼はAの病室に足を踏み入れる。

「A!」

杏寿郎に気付いたときのAの顔は、炎のように真っ赤だった。先の会話を聞かれていたのではという羞恥心と、愛しい人にようやく会えたことへと歓喜が入り混じっている。

「怪我はどうだ?」

その反応を面白がった杏寿郎は、ベッドに腰掛け、Aをまじまじと見つめている。それでAがさらに顔を赤くするのを分かってやっているからタチが悪い。
確信犯とは、この男のためにある言葉らしい。

「だいぶマシにはなってるみたい。でも、あと1週間は絶対安静だって。もう傷は痛まないから、時々散歩をしてるけど……」
「そうか!なら問題ない!」

一体何が問題ないと言うのだ、と思った時には、杏寿郎はAに覆い被さるように、ベッドに押し倒していた。
何やってんのアンタは!とAの怒声が響くも、口はすぐに塞がれてしまう。長い、長い口付けに、Aは杏寿郎の胸を押し返すのではなく、拳で殴っている。パーではない、グーだ。
やっと杏寿郎が口付けをやめた時には、Aは酸欠になっており、必死で息を吸っている。一方の杏寿郎は、まだまだ余裕がある。
Aが【全集中・常中】を取得できたのは、これが理由かもしれない。

「いいか?」

有無を言わせぬ杏寿郎の問いに、Aはただ頷くしかなかった……そのときだった。

「病人に何してるんですか!?」

しのぶがその後、正座をした炎柱に延々と積極をしていたのは、蝶屋敷ではちょっとした話のネタになったという。その後、Aはしのぶを崇め奉ったとかしなかったとか。

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squid(プロフ) - 琥珀さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2019年5月2日 6時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 完結おめでとうございます!続編楽しみにしてます。 (2019年5月2日 5時) (レス) id: d2016535f2 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - 時飴さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、読み返してくださるほど楽しんでいただけて何よりです!この小説を書けて良かった……! (2019年5月1日 20時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
時飴 - あぁ、完結か でもとても楽しい2、3日でした。外伝もこの先楽しみです!何度も読み返したくなる夢小説は久々です!ありがとうございました! (2019年5月1日 19時) (レス) id: 2a7a7ec279 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - 雪菜さん» コメントありがとうございます!読み返していただけるなんて光栄です!ご期待に添えられるよう頑張ります! (2019年5月1日 14時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:squid | 作成日時:2019年3月31日 19時

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