卅弐 闘気 ページ32
先に仕掛けたのは、Aだった。猗窩座に向かって刀を振り下ろし、炎の斬撃を刻む。だが、猗窩座にとって、痛くも痒くもない攻撃だ。Aの力が弱いのは、猗窩座もよく分かっていた。だが、いや、だからこそ違和感があった。
猗窩座を斬るのが目的にしては、あまりに弱すぎるのだ。見た限り、まだAには余裕があるように見える。ならば、この攻撃の目的は何か?
……陽動か!
猗窩座の背後には、刀に手を添えた杏寿郎の姿があった。いつもの猗窩座ならば、反応できたはずだ。だが、Aに意識を集中させていたせいで、視野が狭張っていた。Aは、ただの囮に過ぎなかった。
【炎の呼吸 壱ノ型 不知火】
杏寿郎の炎刀が、猗窩座の頸を狙う。Aの技とは比べものにならないほどの威力を有する。猗窩座の頸を斬れないAが囮となり、その隙に、唯一猗窩座に傷を負わせられる杏寿郎が頸を狙う。それが彼らの作戦だと、猗窩座は気付いた。
相手のやり方さえ分かれば対処もできる。
【炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天】
【術式展開 空式】
その動きは、何度も繰り返される。
【炎の呼吸 伍ノ型 炎虎】
【術式展開 乱式】
猗窩座が既に対処できるというのに、それでも戦い方を変えずに続ける。
愚かだと、猗窩座は怒りを覚える。力があるというのに、何も学ばないのかと。戦い方を変えようとは思わないのか、と。
そのとき、空気が変わった。正確には、杏寿郎の闘気が爆発的に上昇したのだ。
【炎の呼吸 奥義】
今度は真っ向勝負。力の押し合いか。
猗窩座は好戦的に笑い、構えを取る。
【術式展開】
このときにようやく、猗窩座は違和感に気づいく。
あの女は、Aという人間はどこに消えた、と。
【玖ノ型 煉獄】
【滅式】
杏寿郎の技を、猗窩座は防げる気でいた。たしかに強力ではあるが、鬼である己の技に勝てるわけがないと。それは予想通りで、杏寿郎の技は、猗窩座の技で消滅した。
猗窩座は杏寿郎にトドメを刺そうと、勢いのまま杏寿郎との距離を詰める。大技の後はどんな強者も、必ず隙が生まれる。その隙を、猗窩座が逃すわけがなかった。
1対1ならば、これで猗窩座が勝っていた。そう、あくまで1対1ならば。
【炎の呼吸】
杏寿郎の背後から、小さな陰が1つ、低い姿勢で現れた。
鬼の頸は、固い。何故ならそこが急所だから。しかしその分、他の部位は柔らかい。
つまり、頸意外の部位ならば、Aの攻撃も通じる。
【肆ノ型・改 下段盛炎のうねり】
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squid(プロフ) - 琥珀さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2019年5月2日 6時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 完結おめでとうございます!続編楽しみにしてます。 (2019年5月2日 5時) (レス) id: d2016535f2 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - 時飴さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、読み返してくださるほど楽しんでいただけて何よりです!この小説を書けて良かった……! (2019年5月1日 20時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
時飴 - あぁ、完結か でもとても楽しい2、3日でした。外伝もこの先楽しみです!何度も読み返したくなる夢小説は久々です!ありがとうございました! (2019年5月1日 19時) (レス) id: 2a7a7ec279 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - 雪菜さん» コメントありがとうございます!読み返していただけるなんて光栄です!ご期待に添えられるよう頑張ります! (2019年5月1日 14時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:squid | 作成日時:2019年3月31日 19時