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『さっき仕事終わって、、ここ帰り道なんです』






咄嗟に出た嘘、帰り道なんてもちろん嘘。

私が務める出版社から自宅への帰り道は

真逆だから絶対に通らない。







「家遠いんだね、いつも歩いてるの?」

『いやっ、今日はたまたま歩きたくて!』






しまった、ジミンさんに家教えちゃったばっかりじゃん、

しかも私運動すごい嫌いなのに

たまたま歩きたかったなんて嘘ついちゃってるし

ていうかたまたま歩きたいって、言葉下手くそすぎない?





人は誤魔化そうとすると無限に嘘をつけるんだな、と

我ながら感心する。








「俺まだご飯食べてないんだ、よかったらなんだけど

Aちゃん一緒に食べに行かない?」

『えっ…いいんですか?』

「うん、1人で食べるより2人で食べた方が美味しいよ」









そう言って私のカバンを持ってくれた。

そしてまた、胸が締め付けられるような痛み。

もう考えなくても分かる、好きになりそうになってる。

今日の昼間に会った時は感じなかったのに、

今は仕草の一つ一つに反応してしまう。









「今日昼間会ったばっかなのにもう会いたくて、

会えると思ってなかったから嬉しい」









ジミンさんの言葉は、

まるで私の反応を見てるかのような言葉遣いで









『…っ、』

「ふはっ、かわいいね」









そんなに顔に出てたのか、

私の心を見透かしたようにジミンさんは優しく笑う。

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作者名:なるま | 作成日時:2021年9月1日 17時

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