第２話 ページ5
意識を取り戻し、再び目を開けると私は真っ暗な場所にいた。
徐々に慣れていく目でまず自分の置かれている状況として、椅子に座らされて手足を拘束されていることを確認する。
身につけていた隠しナイフも小刃物もない。
おそらく没収されたのだろう。
手足を拘束する縄は明らかに縄抜けが容易には出来ない様になっている。
こういう事に手練れた人間がいる様だ。
？「起きたか…。」
近くに座っていたのか真っ暗な闇の中から人影がゆらりと出てくる。
僅かに見えるその影と、響く声から男という事を確認する。
『…。』
？「早速聴取とさせて貰うで…。」
ヌッと男の顔が近づいてきて、その顔がよく見える。
鋭い目が細められ、口は一文字。
？「まずお前は誰や。」
口を動かすと僅かに、白い犬歯がチラつく。
『………』
？「……何も言わんから……。
まぁ、そんな奴ほどやりがいがある。
……次に…どうしてルナを殺した？」
『………』
何も話す必要はない。
話す事もない。
？「……次に名前は。」
『………』
取り敢えず私は終始無言に尽くし、縄抜けに専念する。
？「答えない……か…。
ほな無理やり話して貰わなあかんなぁ…。」
暗闇の中で銀色のものが見える。
形からしてナイフか？
そんなことを思ううちにそれは私の太ももを貫く。
『……』
それでも、私は特に反応をしない。
ただ、深く刺したなぁぐらいにしか考える事もなかった。
？「…っ…はっ？
…やせ我慢か…」
そんなものじゃない。
残念だが痛くもかゆくもないんだなぁ。
？「…。」
しばらくの間暗闇の中でお互いが見えない状態での見つめ合いが行われた。
…考えてみれば、話す必要もないけど、話さない理由もない。
任務に失敗して、見捨てられ、その後見なくなった人材を私は何人も見てきた。
だから…私も…
“あの方”に見捨てられる…
どうせ、殺される。
『…残念ね…私は痛みなんか感じないわ。
私は何も感じないの。』
私が話せば、少しビクッと身体を揺らす相手。
“驚いた”のかしら？
？「バケモンやな…。」
バケモノ上等。
『…ふふっ……
ねぇ…私をどうする？
首吊り？斬首？それとも…？』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 344人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
向日葵(プロフ) - 黒兎さん» 何卒、よろしくお願い致します！m(_ _)m (2021年4月9日 1時) (
レス) id: 147319149f (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - 黒兎さん» 黒兎様、ご報告ありがとうございます！また、返信が遅れてしまい申し訳ありません！【設定した名前（省略】というのに致しましては、目次の1番下の設定にて変更する事が出来ます！こちらの説明がかなり拙いため、解決しない場合他にご不明な点があれば再びご連絡下さい (2021年4月9日 1時) (レス) id: 147319149f (このIDを非表示/違反報告)
黒兎 - すみません！ 第11話にミスがありましたのでご報告させて頂きました。夢主の名前が、【設定した名前の最初2文字】になってます！ (2021年3月29日 18時) (レス) id: 80b7b02781 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - 雪餅さん» 雪餅様、コメントありがとうございます！そう言って頂けてとても嬉しいです！続編の件も了解です！ (2019年8月31日 0時) (レス) id: 6b871adc31 (このIDを非表示/違反報告)
雪餅 - コメント失礼します！とても面白かったです！！もしよければ続編もみたいです！ (2019年8月30日 7時) (レス) id: 6af2d97fdd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：向日葵 x他1人 | 作成日時：2019年6月26日 0時
