66 . 雨上がり ページ17
大貴side
「ありがとうね、有岡くん。もう戻っていいわよ」
「山田、お願いします」
.
とは言ったものの、気になる…
昼飯の後、直ぐに保健室(もとい保健の先生の部屋)に向かった。
「ちょうど今寝付けたところ。あの時ぶりね、ほら、学校で」
「はい。あの時も山田、偏頭痛になって」
そういや、今年は雨が少ないな。
雷もあの時以来鳴ってない
昔は雨が降る度、山田の憂鬱そうな顔を見るのが恒例で、ちょっと雨の日が憎かったけど。
「眠れてるみたいなので、この辺で失礼します」
このままだと夜も保健室コースかな…
いつ話そうか、
俺はずっと、謝りたかった。
.
山田がいないまま午後の活動も終わり、
就寝前の自由時間
同部屋の男子たちの会話に混ざる気にはなれず、廊下をふらついていた。
山田、今何してるんだろ
気づいた時にはもう、部屋の前まで来てしまっていた
コンコンコン
一応、3回たたいてみる。
「…っ!!」
「やまだ…」
右を向くと、俺のパーカーを着た山田が立っていた。
.
「なにしてんの、もう体調は良いのか?」
そう問いかけると、控えめに頷き、落としたペットボトルを拾い上げた。
「それ買いに行ってたんだ。先生は?お風呂?」
またひとつ、山田は頷いた。
ああ、"今しかない"
直感でそう思った
「山田、一緒に来て。」
.
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作者名:朔 | 作成日時:2020年2月1日 23時