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終わっちゃったなぁ、と感傷に浸りながら駅まで思い足を動かす。すると突然隣の彼がぴたりと立ち止まった。何事かと彼を見つめているとカバンをごそごそとなにか探っていてなんか落とした？と不安になりつつその姿を無言で見つめる。
｢あー.......これあげる｣
すると飛んできたのはそんな言葉。もごもごとそう言う彼は私に何かを差し出した。ん、と手を差し出されそっと手を出すと、ころんと何かが掌に転がり落ちる。手のひらにコロンと転がり落ちたそれはきらりと光る王冠のヘアピン。まるで、彼のようで。まるで、グッズみたいで─────
｢！？これ……！｣
見たいじゃなくて、そうだった。グッズだこれ。次のツアーのやつ。
｢あげる。今日のお礼ってことで｣
お礼とは？私が今日したことそれがお礼なのだからお礼にお礼を貰っては意味がわからない。
｢いや、そんな。お礼にお礼とか……とにかく！！受け取れないです！！！｣
突き返すと彼はまぁまぁ、と言いながら私の掌からそれを受け取り1歩近づく。驚き、1歩下がると今度は肩を捕まれ、また近づかれた。きゅっと唇を固く結び彼を見つめるとふっ、と小さく頬が緩められる。そしてその手は私の頭上に伸び、くるくると何度か髪を遊ばせてからすっと、何かが髪に通る。
｢試作品だから大丈夫｣
何が？
そう思いはしたがいっぱいいっぱいで口にすることは出来なくてじっと彼を睨みつける。
｢……そんなに言うなら。もうこれ、私のですから｣
すると一瞬豆鉄砲をくらった鳩のような顔をしたあと彼はふは、と失笑した。
｢もう私のですけど！！正規品だって買いますから！！！使う用と保存用！！！｣
｢それはつけてくれない感じ？｣
｢これも付けますけど！！！｣
くつくつと笑う彼はぽん、と私の頭に触れた。それをそれとなく叩き落とし1歩下がる。これ以上彼になにか貰ったらバチが当たってしまうような気がした。それを理解したのかしてないのか、小さく笑った彼はじゃあまた、と言ってひらひらと手を振り背を向けた。
｢──────また……？｣
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