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第1話 優しさ ページ2

「顔色が優れないようですが」


私の旦那様はとても優しい方だ。

奉公人として家に売られてきた私を、彼は粗雑に扱うことも無く、何かを強いることも無く

ただ優しく、おおらかに包んでくれた。


勿論仕事はやったが、それも年相応の仕事で、逆にこちらがもっとお役に立ちたいと思ってしまう


そんな、どこまでも善良な人だった。


今日は私を連れて街へ買い出しに来ていた。

奉公人は決して少なくないのだから、私たちに任せればいいのに、「街を歩くのは楽しいからね」と自らも荷物を持って、たまに寄った甘味処で馳走をくれたりする


そして今日も今日とて人助け。


どんなに体や着ているものが汚くたって、貧しそうで見返りがなさそうでも、彼は手を取る。


逆に裕福そうな人でも手を伸ばすのだから、たまに不敬と思われないかこちらの気が気でもない。


そんないつも通り。いつも通りの買い出し、いつも通りの談笑、いつも通りの人助け


でも_________


「気分が優れないのであれば病院、へ……」
『………ぇ』


気づいたら、旦那様が宙に浮いていた。

何かに吊り上げられるでもない、何かに乗っているでもない。


ただ、宙に_________


『旦那様!!!』


私がそう叫ぶと同時に、旦那様が口から血を吐く。

ベチャ、と嫌な音がなって地面に血が降る。


私の顔に、血が降る。


それに唖然としているとドサリと旦那様の身体が落ちる


なに、してる…受け止めなきゃ、ならなかっただろう、たとえ私が潰れたって…緩和して…


『う、あぁあああ!旦那様!!』


誰よりも、何よりも大切な人、私に幸せを、全てをくれた人


手を伸ばす、助けなきゃ、


だが無情にも、その手は届かない。

何かに遮られて、壁に力強く打ち付けられる


「私の顔色は、悪いか…?」
『は…?』


私を抑えているのは旦那様が声をかけた人。

こいつが?こいつが、旦那様を?


『貴様ッ!よくも、よくもっ!』
「違う、違う、私はそんなことを聞いているんじゃない、私は、私は顔色が悪いか、と聞いている、私は病院に行かなければならないか?ずっと床に伏せていなければならないか?」
『…ッッ顔色じゃなくて頭が相当イカれてるみたいだなッ病院じゃなくてとっとと死ねッ…!』
「あの惨状を見て威勢のいいお嬢さんだね」


そう言って男が人差し指を立てる。

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いーさん(プロフ) - 満月雪兎さん» すみません、返信遅くなりました。ありがとうございます!頑張りますね! (2019年8月20日 19時) (レス) id: 4740787582 (このIDを非表示/違反報告)
満月雪兎(プロフ) - 『父を殺した者への復讐を誓う』というところが滝夜叉姫っぽくて好きです。更新頑張ってください! (2019年8月11日 12時) (レス) id: 5acf868e91 (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - レイラさん» ありがとうございます!頑張らせていただきますね! (2019年8月8日 21時) (レス) id: 4740787582 (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - 甘空さん» コメントありがとうございます!そう言って貰えるととても嬉しいです!応援に応えられるよう頑張りますね!いえいえ!本当にありがとうございます! (2019年8月8日 21時) (レス) id: 4740787582 (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - 面白かったです。涙腺が崩壊しました。応援しています。頑張ってください。 (2019年8月8日 5時) (レス) id: 16a7c15423 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いーさん | 作成日時:2019年6月4日 23時

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