３６２話：気にかける理由 ページ3
襖越しに声をかけられる。
「目が覚めたか」と。
少し、怒っているようなそんな声。
貴方「うん……。」
入るぞ、とぶっきらぼうな言葉のあと
スッと土蜘蛛が部屋の中へと足を進める。
土蜘蛛「気分はどうだ。」
貴方「…大丈夫だよ。」
土蜘蛛「嘘だな。何かあったのであろう。」
貴方「……大やもりの記憶が見えたの。…それが、私がここに居るのと何の関係があるのか分からないけど…。カルラは…どうなったの。」
土蜘蛛「カルラは大ガマの屋敷に居る。今はまだ会うべきではない。お主もしっかりと休むが良い。」
貴方「…わかってる………。」
土蜘蛛「…」
少しの沈黙の後、土蜘蛛は静かに言った。
土蜘蛛「………何故そこまでカルラを気にかけるのだ。」
貴方「…！…べ、別に…理由なんて…………。」
土蜘蛛「…」
『フミの代わりなんかじゃない！カルラはAを想っているんだよ…！』
貴方「………ごめん…土蜘蛛。1人に…してほしい………。」
土蜘蛛「…ああ。」
短く返事をした土蜘蛛は部屋を後にした。
貴方「…はぁ………。」
烏天狗にああ言われて真に受け過ぎている。
カルラはただの…
ただの友達だと、割り切らなければならない。
貴方「早く……伝えなきゃいけないのに…いつまでこうしているつもりなの……私は。」
私が好きなのは………エンマさんでしょう。
なのに、どうして………
どうして烏天狗やカルラ、土蜘蛛…大ガマ…
他のみんなが頭の中に出てくるの。
貴方「………エンマさん…。」
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作者名：暁兔 x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年1月18日 0時
