君を独占したい。ー９ー【妖怪ウォッチ】 (ページ2)

今日:2 hit、昨日:21 hit、合計:23,988 hit

３６１話：香ページ2

涙が止んだ頃には、夢の中の時間は随分進んでいた。

桔梗が21歳くらいになった頃だった。
急に倒れ込み、血を吐いた。

大やもり「桔梗…！？」

大やもりは血相を変えて桔梗に寄る。

私も身体は弱かった。
死因も、鬼の血を飲んだことも1つだが
心臓を患っていたからというのが大きな要因だ。

大やもり「桔梗…」

桔梗「大丈夫……、ごめんね…掃除…しなくちゃ………。」

老夫婦に育てられた桔梗は、
既にただの平民となっていた。

結婚はしていないようだし、
山の麓で大やもりと過ごしている。

子供の頃からよく走り回っていた桔梗の事だ。
山での生活はさぞ楽しかっただろう。
桔梗はもうすぐ死んでしまう。

大やもりも、その事を分かっているのだろう。

大やもりの話を聞くに、
2人は桔梗の死により離別し、
桔梗は妖怪になることは無かった。

ああ、結末はわかっているから
夢ならば早く覚めて欲しい。

これ以上他者の記憶を探りたくはない。

私は早く、カルラを助けなきゃいけないんだから……。

そう思い目を閉じると、
身体を引かれる感覚に襲われた。

驚いて声も出なかった。
身体がビクッと反応したあとは動かない。

何が起こった…？

恐る恐る目を開けると、
太陽が少しだけ差し込む部屋に一人でいた。

貴方「あ…れ………？ここは…」

ダルい身体を起こす。
微かに白檀の香りがする。

ここ、土蜘蛛の家だ………。