２５３話：綺麗 ページ31
みんなが私を休ませるために、隣の部屋へ行った。
何かあれば叫ぶ様に、烏天狗に言い付けられた。
それから私は深く眠っていた。
起きた時には、寝付く前より6時間ほど経っていた。
部屋の扉の開く音で目が覚めた。
貴方「ん……誰……？」
大ガマ「あ、悪い…起こしたか？」
貴方「ううん、大丈夫…。どうかしたの？」
大ガマ「あー…、えっと………その…。女郎蜘蛛が言ってたこと謝りたくて…。
お前を助ける為とはいえ、口付けたことは本当に悪いと思ってる…。ごめん……。」
大ガマは私から視線を逸らした。
明かりの灯っていない暗い部屋でもわかるくらい、大ガマは頬を染めていて……。
私の前では気を抜いてくれているのか、
妖気を使わないその姿は、
まるで平安時代の女性のようで
とても綺麗だった。
貴方「ううん、私は気にしてないから。私の方こそ…その……、迷惑かけてごめんなさい…。」
大ガマ「迷惑なんかじゃ…」
未来の大ガマは、派手な服を着ているけれど
そういえば室町時代も、今も
白い着物に、青色の羽織だけだったなと思うと、自然と笑みがこぼれるくらい懐かしい。
大ガマ「な、何笑ってんだよ…」
貴方「あ…えっと、綺麗なと…思って。」
大ガマは美形だ。
それは女の人に劣ることも無い。
でもそれをひけらかす事もしない。
昔も、大ガマと歩くと多くの視線を感じる程だった。
未来でも、大ガマはモテる。
こんなに美形でSランクなら、女子が放ってはおかないだろう。
だから気になる。
私に妖怪になるなと言ったあの時の
大ガマの切ない顔が。
大ガマも、想っている誰かが居たってことなのかな。
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作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2019年8月25日 14時
