ままごと。

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画面に入り込んだ名前に、

一呼吸おきながら通話をタップ。




翔 『 なんで将康に掛けてんだよ？ 』



もしもし？とか、そういう言葉から始まらない電話。


私の鼓膜を細かく震わすその声は、少し不機嫌そうな口調なのに何故か笑ってしまう。




「 将康くんの方が優しく出てくれそうかなーって。笑

今は電話して大丈夫だった？ 」




翔 『 ああ。

明日朝一から詰めて仕事になったから

今から宿泊先に行くとこ。 』




詰めて仕事？



「 そっか。 忙しそうだね。」



話していたい。心を指で触られてるみたいに、この電話が切れてしまう時間が来るのが寂しいな、なんて。


声が聞こえない時間も、翔くんの息遣いが風が吹くみたいに聞こえる。





翔 『 明日中には帰る。』





「 明日？ 朝は明後日って。何か急用？ 」





翔 『 あんな可愛いの見せられたら、帰るしかねぇだろ。

詰めてもらって、明日ひぃひぃ言いながら仕事だわ。 笑 』




ものすごく強引で、容易く転がされて。

陽向もいる。慎重にならなきゃ。

分かっていても翔くんはものすごい力で私をねじ曲げて、押し流してしまう。

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