・ ページ32
・
皇「待って、ここってどこ？」
『え？ここ』
なんて自分の足元を指さして眉を上げる。
颯「いつ！？」
『夜公演中。いっちばん後ろから見てた』
尚「聞いてないし！」
『言う訳ないじゃん、サプライズって知ってる？』
ぜんっぜん可愛くねえ返事ばっかだけど、皆自分の記憶辿るのに精一杯でそんなん構ってらんなかった。
湧「え、まじで居た？」
俺らがこいつに気付かないとかある？
『居たって！…すっぴんだったからマスクしてたけど』
翔「すっぴんとか今更気にするー？」
『うわこれだからしょまたんは！女心分かんないとかアイドル失格だから！』
まあためちゃくちゃな理論並べやがって。
けどそう言われて見ればAの顔には普段よりしっかり色が着いてて、なんなら少しキラキラしてる。
メイクはあん時辞めたはずだったじゃん。
それに髪だって。
あの頃は少し伸びただけでもすぐに切りに行って、いつでも完璧なショートヘアだった。
だから今、さらさらと腰の辺りで揺れるそれは出会った頃を思い出させる。
湧「なんか懐かしくね？んな髪長いの」
そう、柔らかいそれに指を通した。
『んね、何年振りよって感じ。
…あ、そうだみなさん！わたし、決めたことがございまして、』
俺に返事をしたかと思えば突然そんなことを言い出したこいつに一斉に視線が向く。
『みんなに迷惑かけちゃうこと、あるかもしれないんだけどさ、………わたし、もう無理しないことにした！』
声高になされた宣言。
意味はいまいち分かんなかったけど、その何かに吹っ切れたような顔は今までに見たどんな表情よりも綺麗な笑顔だった。
俺は、こいつのことを誰よりも知ってると思ってた。
意識した訳じゃなくても、ずっとずっと隣にいてなんだかんだいつまでも俺に頼ってきて。
自慢になんかならないけど、喧嘩した回数だってここに居る誰よりも多い自信がある。
だけどその分仲直りだってしたし、ご機嫌取りの仕方もたくさん覚えた。
現に今だって、Aは病院から出られないって頭じゃ分かってたはずなのに、うちの冷凍庫にはあいつの好きなアイスが常備されてる。
それなのに、こんな表情を見るのは初めてだった。
きっと普通の幼なじみとか、親友とかとは違う。
この特殊な世界でしか、俺はAに出会えなかった。
そんなここでAは今、大人になろうとしてる。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 411人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「少年忍者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らら(プロフ) - 香花さん» いえこちらこそです！相変わらずゆっくりの更新ですが楽しんで頂ければと思います。 (2022年1月31日 21時) (
レス) id: 76512b9a79 (このIDを非表示/違反報告)
香花(プロフ) - ご丁寧にありがとうございました！無事お話を読むことができました。これからも楽しみにしています。 (2022年1月31日 15時) (レス) id: 2140f828c0 (このIDを非表示/違反報告)
らら(プロフ) - 香花さん» コメントありがとうございます 。準備中でしたので鍵をかけておりましたが移行が完了しましたので先ほど公開させて頂きました。このままお楽しみください。 (2022年1月31日 10時) (レス) @page50 id: 76512b9a79 (このIDを非表示/違反報告)
香花(プロフ) - はじめまして。お話の続きが読みたいのですが、パスワードのついた作品を読むのが初めてで、どうしたら良いのか分からないので教えていただきたいです。 (2022年1月28日 16時) (レス) id: 2140f828c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らら | 作成日時：2021年5月21日 12時
