32:大好きなヒーロー ページ32
右腕はペタンとおしりを着くと図鑑を眺めながら話しかけてくる。
「俺さ、姉ちゃんみたいな水の個性がよかったなぁ、」
『絶対やめた方がいいよ。笑われるよ。ガキンチョ、なんでか聞いて。』
「･･･なんで。」
『私泳ぐの下手だからね！』
「お前の事情だろ！」
不貞腐れながらも角が擦り切れた父と母のページを見つめている。本当に好きなんだな。
母さんと父さんのこと。
『オールマイトとかの方がかっこいいじゃん。』
「･･･確かにオールマイトはカッコイイんだけどさ、このヒーローは俺の母ちゃんを助けてくれたんだ。」
少年は図鑑を見つめながら微笑んだ。
可愛い顔できんだな、少年。
そのまま沈黙が流れる。
「･･･なんでか聞けよそこは。」
『ハイハイなんで？』
「言い方ひでぇ！が、俺の感覚に狂いはねぇ。お前は水の個性だ！」
『聞きたいんだけどそれって何に影響されてるの？うちの同級生も影響されてんだけどなんの本？』
へえ、漆黒のなんちゃらって言うのね。轟くん可愛い〜
少年は水鉄砲を持って空に掲げた。光が水鉄砲の中の水を通してキラキラと光る。
「俺も早く俺のヒーローを見つけてぇな！」
その顔は清々しいくらい真っ直ぐで自分には足りないもののような気がした。
私のなりたいヒーローってなんだろう。
『･･･いや、なんかの右腕って言ってなかった？』
「あ？爆殺王の事か？あれは公園を濡らしまくった俺を倒しやがったやつの事だ！･･･あれは本当に怖かった。鬼かと思った。ヴィランみたいな顔してたんだ･･･今日来てるかと思ったけど来てないみたいだな。」
周りを見渡してそう言う少年。
何故か知らないけど、この少年は将来素敵なヒーローになる。そんな気がした。
『いいヒーローになれるよ、君は。その鬼から卒業して私の右腕になれば？好きなヒーローに会えるかもよ』
「いや遠慮しとくよ。俺、知らない人とは友達にならないって決めてるからさ、それに、姉ちゃん人使い荒そうだし、そうやって俺を吊ろうとするところとか汚いよね。この汚人が。」
『子供がそういう言葉を使うな。アイス奢ってやらねぇぞガキンチョ。』
私は今度少年にアイスを奢る約束をして寮に帰ることにした。疲れも吹き飛んだ。
久しぶりに来たこの公園はただの思い出でしかなくなってしまったけれど新しい思い出になった気がする。
拒否された友人にもう一度説明してみようと思えたのだ。
軽い足取りで寮に帰った。
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たら - 小学生の子かっこよすぎ。結婚しよう (2021年8月12日 21時) (
レス) id: 979f7d7a59 (このIDを非表示/違反報告)
れふる(プロフ) - とても素敵な作品で大好きです！！続編待ってます！！ (2020年4月10日 15時) (レス) id: f89108791d (このIDを非表示/違反報告)
マイ - めちゃ感動した。やばい神すぎる神に改名したまえ (2020年4月9日 10時) (レス) id: d1e84853e0 (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 本当まじ感動しました！めっちゃキュンキュンする〜！！神作書いてくださって本当にありがとうございます！！ (2020年4月7日 23時) (レス) id: 5ed857011f (このIDを非表示/違反報告)
紺 - 素敵でした (2020年3月12日 12時) (レス) id: 70df13c73f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：日�� | 作成日時：2020年1月8日 23時
