ツンデレくんと家政婦ちゃん【青】

おさけ ページ3

え？


突然、上から声がふってきた。



だれ・・・？


ふいっと顔を上げて声がしたほうを見ると、男の人が笑っていた。


イ、イケメン・・・。


鼻がすっと伸びていて、目はくりっとしている。可愛い系かな？


髪は水色で、爽やかな雰囲気。


「あ、あの・・・」


「さっきから目立ってたから、気になって」



うわ。そんな声大きかった！？


そういえば泣き叫んじゃったよ恥！


「す、すみません。迷惑かけて」


マスターとイケメンに謝る。

マスターはにこっと微笑んでまた自分の作業に戻る。かっこよ。


「いーんだよ。何かあったんでしょ？」



「は、はい。彼氏にフラれまして・・・」


「それは辛かったね。よしよし」

イケメンがわたしの頭を優しくなでた。

え！イケメンって平気でこんな事すんの！？

こんなことされたら誰でも簡単に落ちちゃうよひえ。

わたしはさっきの絶望感を忘れ、顔を真っ赤にする。


「あ、そういえば言い忘れてた。僕ころんって言うの。君は？」



「あ、天野Aです」



「よろしくAちゃん。あ、L〇NE交換しよーよ」


「あ、はい」


なにこのコミュ力。さりげない。


「Aちゃん。何か飲も？僕奢るよ」



「あ、ありがとうございます。でもわたしここ初めてで、全然分からないんですけど」





「初めての人はこれがいーよ」



おすすめのを注文してもらって2人でカンパイ。こんなこと初めてでドキドキする。



・・・前の彼氏とはこんな風に、夜ふたりで飲むことはあまりなかった。デートも少なかったし・・。


ああもう、アイツのことなんて忘れよう。フラれたんだし。



わたしはヤケになって、次から次へとお酒を飲んで行った。



「それで、酷いんですよぉ。デート月一って。今思えば怪しかったのに。何で気づけなかったんでしょお〜」



「Aちゃんが純粋だっていう証拠だよ。ほんとに酷いよね」



「ありがとうございますぅ・・・」



わたしは完全にヤケになっている。



普段は他人に話を聞いてもらうことはあまりない。自分のことを話すの苦手だし。



でもころんさんは、全部受け止めてくれそうな気がして。このひとなら、何も言わず、聞いてくれそうで。


つい安心してしまった。

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