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Aside
20：00
最俺ハウスからほんの少しだけ離れた公園
私はベンチに座りフジを待った。
肌寒い季節
口からは真っ白な息が吐かれ
少しだけ腕を擦った
貴「フジまだかな…」
暗くなった夜空を見上げ呟く
すると「ザッ…ザッ…」とこちらに近づく足音が聞こえてきた。
やっと来た…！
きっとフジだろうと勢いよく振り向くと
そこには
キ「さっむ…」
貴「キヨ」
上着のポケットに手を突っ込みながら歩くキヨが居た。
私と目が合ったキヨは「よっ」と一言。
そして静かに私の隣に座った。
キ「まじ寒いな」
貴「ほんとね」
短い会話
お互い空を見上げ少しの沈黙
不意にキヨに視線を向けると目が合った。
キ「何見てんの」
貴「べっつに〜」
「ふっ」と笑うキヨに私も微笑む
貴「キヨが取りに来るとは思わなかった」
キ「フジに頼まれた」
私の言葉に少しだけ不貞腐れて答えるキヨ
そんなキヨが面白くてつい笑ってしまった。
笑う私を怪訝な顔で見るキヨは梨の入った袋を徐に手に取り、立ち上がった。
キ「寒いしもう帰れ、明日仕事だろ」
そう言うと公園の出口に向かって歩きだした。
いきなり過ぎて驚く私は数秒固まり、急いでキヨの後を追った。
貴「急過ぎて思考停止したわ」
キ「寒すぎて帰りたくなった」
貴「キヨらしい」
何ともマイペースなキヨに笑みがこぼれた。
キヨに追い付くと静かに隣を歩く。
キ「駅まで送る」
そうキヨが呟いた。
その言葉に驚きキヨを見つめる
そして急いで断りの言葉を紡いだ。
貴「いやいや！申し訳ないし、それにまだ時間もそう遅くないから大丈夫だよ！」
しかしキヨは私の言葉をスルーし、どんどん進んでいく。
あぁこれは何を言っても聞かないな…
私は少し苦笑し、キヨについていく。
貴「キヨって優しいよね」
キ「あたりまえ」
貴「ありがと」
キ「ん…」
二人並んで駅に向かう。
駅に着くまで会話は無かった。
でもとても居心地が良かった。
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作者名：彼岸 | 作成日時：2018年11月14日 22時
