伍拾肆 ページ7
嗚呼こんな事初めてだわ。
ドクドクと心臓が唸る。嫌な汗をかく。
緊張、する。
「はい!!勿論です!!
もう絶対に、無理はしちゃ駄目ですよ?」
竈門さんはそう言って、私の頭を撫でた。
初めての感覚、だけどどこか懐かしい。ふわふわする。
凄く暖かくて、それに溺れてしまいそうになったけど、
私は、言い方はおかしいけれども、
私は、しっかりと涙を流していた。
「っ、ふ、っっう」
「泣きたい時は、我慢しなくていいんですよ。」
竈門さんが、また私を絆すから、、
私は、声をあげて泣いた。
______________
「落ち着きましたか?」
ずっと背中をさすったり、頭を撫でてくれていた竈門さん。
「っっ、はい。ごめんなさい。もう、大丈夫、です。」
「そうですか。それは、良かったです。」
「…、え?」
美しい高い声。
後ろを振り向くと、そこには胡蝶さんがいた。
「っっ、こ、胡蝶、さん、っっ!?」
いつもの笑顔を浮かべ、私の少し後ろに座っていた胡蝶さん。
「ええ、そうですよ。
実は少し前からいたのですが、待っていました。」
「す、すみませんっ」
「いいえ、謝らないでください。
私は今とても嬉しいんですよ?Aさん。
…Aさんが、幸せを願ってくれるなんて…。」
そう言って、泣きそうな、笑いそうな顔をする胡蝶さん。
「…ありがとう、ございます。」
いつもは、すみません。そう言っていた。
でも…。
「っっ!ふふ、嬉しいですねぇ。
そうですよ、Aさん。自分で変えられるところから、変えていくのですよ。」
その調子です。そういって、また、優しく微笑む胡蝶さん。
っ、気付かれていた。と少し恥ずかしくなる。
私は、幸せになりたいと願った。
だから、幸せを頑張って作る為、さっきささやかに、本当に些細な事をやってみたのだ。
私が、嬉しい方を選んでみたのだ。生まれて初めて。
なんか、生まれて初めてな事が多い。
少しくどいかな、とも思うが、
それでも、私はこうしたいな。
自分の初めてを、毎日探したい。
自分の幸せを、毎日探したい。
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ハルル - とっても面白いですね。続き楽しみにしています! (2021年4月2日 16時) (レス) id: 3ed8831ca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蔚 | 作成日時:2020年1月13日 21時