◎ 君だけを守るよ (ページ8)

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父「吉原、来なさい」

吉「はい」

お嬢様のお父様に呼ばれた。

部屋に入るや否や、昨日のことなんだが、と話し始めた。

父「吉原…Aとどういう関係だ」

心臓の動きがどんどん早くなる。

吉「お嬢様と、執事です。」

父「その関係で、キスしたり、抱きしめたりするか？」

吉「それは…」

何も言えなかった。

昨日のあの現場を見たのだろう。

父「答えろ」

ガチャ

「お父様！！」

お嬢様が部屋へ入ってきた。

「まぁちゃんは悪くないの！全部私が…！」

父「A」

吉「お父様…私は…今日限りで辞めさせていただきます」

ここから出て行って、また新しいご主人様を探そう。

そうしたら、彼女のことも諦められるはず。

「だめ！まぁちゃん辞めないで！」

吉「でも、お嬢様…」

父「A、仕方ないんだ。そういう決まりがあって…」

「…っお父様なんて！」

吉「お嬢様！」

走って部屋を出て行く彼女を追いかける。

彼女の行く場所なんて、決まってるから。

吉「お嬢様…開けてください」

花の温室の鍵をかけて、出てこない。

吉「お嬢様…」

どうしよう。

困ったぞ。

頭をフル回転させる。

力ずくで開けられそうだが、それでお嬢様が説得できるわけではない。

「ねぇ、まぁちゃん」

吉「はい、なんでしょう？」

「私、絶対ここから出ないから」

吉「…なぜですか？」

「ここから出たら、まぁちゃん…いなくなっちゃうでしょ…？」

涙声でそう訴えてきた。

父「A…出て来なさい」

お父様が遅れてやってきて、必死に説得する。

その説得は、日が落ち、真っ暗になるまで続いた。

「出ないって言ってるでしょ！！」

父「………分かった。吉原は、残す。だからほら、出て来なさい。」

ガチャ、と鍵が開いて、お嬢様がゆっくりと出てきた。

「本当？」

父「もう、約束してしまったしな。仕方ないだろう。」

「お父様、ありがとう！」

そう言って僕に抱きついてきた。

吉「お、お嬢様！」

「いいでしょ？最後に…」

父「じゃ、先に帰っとるでな」

その夜が、彼女に好きと伝えられる、最後の日だった。

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