ストーカー ページ3
「あの、部屋でお話しませんか……？」
「いや、普通しませんよ」
「何もしませんから！」
「……ストーカーの部屋にノコノコあがる馬鹿な人、いると思います？」
うっ……と言っている佐野さん。
確実に傷ついている。
……なんか申し訳ない、けどストーカー。
でも超タイプだし……
「わかりました！行ってあげます。そのかわり、何もしないでくださいよ」
「じゃあ、行きましょうか」
そう言われて、501号室へ行った。
「ワニ！？」
シューッと言いながら動くワニ。
ここ、ペット禁止じゃ……！？
「すみません、誰にも言わないでください……それに、本山幹子さんって呼ばないと、噛まれますよ」
「本山幹子さん……可愛いですね」
「そうですよね……僕もわかります」
えー……あたしこの人にストーカーされてたのか……
でも……何もされてない訳だし。
いや、それでもさ……！
「それより、どうしてあたしのストーカーを？」
「それは……仲良くなりたいなって思ってて、声掛けようと思ったんすけど……
なかなか声掛けられなくて、タイミング待ってたらこうなってしまって……」
そう言い終わると佐野さんは、いきなり
「あの、僕とお付き合い……してくれませんか……？」
「いや、しませんよ」
「そうですよね……すみません」
「でも、お友達にはなります」
我ながら、何言ってるんだ。
この人はずーっとあたしのこと、ストーカーしてたんだよ？
それなのに友達になって大丈夫か？
「あなたのためじゃありません、本山幹子さんに会いに行く為です。
勘違い、しないでくださいね！」
「はい……わかりました」
「それと、ストーカーするんだったら、お迎えっていう体で来てください。
……そうじゃなきゃ、怪しまれますよ」
好きになった訳じゃない。
たまたま、気になってしまっただけ。
タイプだったから、仲良くなりたいと思っただけ。
好意がある訳、ないでしょ。
「良いんですか……？」
「佐野さん……だから。それじゃ、また明日。おやすみなさい」
「……おやすみなさい」
……ていうか、大丈夫だったのか？
ストーカーと仲良くなって。
いや、でももう……ストーカーじゃないのか。
なんか頭がこんがらがってくる。
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作者名：アンドロメダ | 作成日時：2019年9月11日 20時
