正解 ページ20
「……二階堂くん」
「雨宮さんが、倒れたって聞いたので。それに、色々聞きたいことがあって」
「何？」
「雨宮さん……黒島さんのことが知りたいって言ってたじゃないですか」
椅子に座り、彼は私に質問を始めた。
何聞かれるんだろう。
「もしかして、雨宮さんは殺されたいのかなって思って」
「……そんな訳ないでしょ」
「でも、黒島さんと交友はありましたよね？」
……そこまで辿り着いてたなんて。
まるで探偵みたい。
「あったよ。彼女がこの大学に入学してからずっと」
「彼女の本性に気付いていたのに、どうして止めなかったんですか」
「止めたら、意味ないでしょ」
「……は？」
殺されたがり？正解に決まってる。
誰からも愛して貰えなかった。
でも黒島沙和だけは違った。
「だって……止めたら私、殺されないでしょ」
「今さっき、殺されたくないって……！」
「嘘ついたの。わかる？」
「……雨宮さんはそんな人じゃない！」
「そんな人なの。でも安心して。私は一連の事件を知らなかったし、
衝動を抑えてると思ってた。被害者を殺してとも言ってない」
無関係の人間。
犯人と交友関係があっただけ。
「でも、自分のことは殺してと頼んだ」
「そうだよ……でも、捕まっちゃった」
「おかしいですよ！！そんなの……」
「そうだよ。おかしいよ……でも、私は誰からも愛されなかった！
親から受けた愛？笑わせないで。私が受けてきたのは……傷だけだよ」
止めない母親と、やめられない父親。
私は親戚に引き取られたいとずっと願っていた。
「子供の時に受けた傷が忘れられない？」
「うん……あの時だけは、私が必要なんだなってずーっと思えた。生きてる意味があるなって。
だから、殺してほしいの。それだけ考えられると嬉しかった……」
狂ってるでしょ。
おかしいでしょ。
それこそが最大の私なの。
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作者名：アンドロメダ | 作成日時：2019年9月11日 20時
