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「人いっぱいですね」
「俺が何か買おうか？」
「……たこ焼き、食べたいです」
「わかった、買ってくーーーー」
豪さんの袖を引っ張って引き止める。
黒島ちゃんみたいに可愛い……とは確実に言い難いけど上目遣いをする。
「あたしも行きます」
「え？いや……いいよ。無理に歩かせることはできない」
その優しさが困る。
嬉しいけど……今はまだ！！
耐えろあたし！！
「でも……一人でいるのは危ないでしょう。
豪さんといたいんです」
「……じゃあ」
はぐれないように、と手を繋ぐ。
またあなたが好きになっていく。
もっと伝えられるようになれたら良いのに。
「たまには悪くないですね、デートも」
「誘ってくれて、ありがとう」
「もっと他の場所にも行きたいです。豪さんと2人で」
なんて話していると、転んでしまった。
鼻緒が切れたみたい。
嗚呼、嫌な予感がする。
「大丈夫？」
「鼻緒が切れたみたいで……どうしましょう」
突然、豪さんがおんぶの体勢をとってくれた。
重くないかな、と思いながら乗る。
「家に帰ったら着替えなきゃですね、折角買ったのに」
「……似合ってる」
「いきなり言うと照れるじゃないですか」
「また来年も行こう。それ着て」
恥ずかしさのあまり、背中に顔を埋めた。
「楽しかったです」
「俺も」
「転んでしまったのは残念でしたね……もっといたかったのに」
「でも、何ともなくて良かった」
そのままキス……という訳にもいかなかった。
きっとあたしのスマホだろう。
なんてタイミングの読めない。
「ごめんなさい……出ますね」
応答すると、焦っている手塚さんの声がした。
だから嫌な予感がしたのか。
迷い猫を見つけるのは得意だ。
「ちょっと急用ができたので外出ます」
「えっ？」
「事件が解決するかも」
急いでキスをして、部屋を出た。
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作者名：アンドロメダ | 作成日時：2019年9月1日 22時
