佐野さんに色々してみたいしされてみたい【あなたの番です】 (ページ4)

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夏祭りに行ってみたページ4

今日は待望の夏祭りの日。
黒島ちゃんには何かと世話を焼いてもらっている。

「黒島ちゃんにはこれぐらいしかできないわ……」
「Aさん、手先器用なんですね」
「髪の毛で色々するの好きだから」

黒島ちゃんのヘアアレンジをしている。
お団子みたいなやつでいいよね。

「はい、できた」
「ありがとうございます！嬉しいです……」
「ん……別に大したことはしてないよ」

こんなに明るくて可愛い子なのに……
あの元彼、本当に許さない。
まあ、亡くなったのは可哀想なんだけど。

「Aさん、行きましょうか」
「ああ、うん」
「あの……彼のことは、忘れてください……」

俯きそう言う彼女。
彼女の頭に手を置いて、撫でる。
彼、というのは波止のことだろう。

「うん。そんな暗い顔してちゃダメだよ」

そう言って彼女の背中を押す。
早く、次に進んでほしい。
廊下に出て、鍵をかける彼女。
一緒にエレベーターに乗り込み、3階で止まる。

「じゃあ……頑張ってね」
「はい。Aさんも」

最後にこちらを振り向く彼女は、どの花火にも劣らない美しさだった。
……とそれっぽく言葉を並べてみた。
そして5階に止まる。
エレベーターから出ると、豪さんが待っていた。

「長かったでしょ？部屋で待っていれば良かったのに」
「その……早く、見たかったから」
「……恥ずかしい」

そう言えば、久住さんにアンジェリーナ……？に乗るなって言われてたんだっけ。
いつまでも乗ることに躊躇ってるから腕を引いて乗らせた。

「大丈夫ですよ、今日は餌、持ってないんですから」
「ああ……でも、初めて久住さんに……」
「わかってます。ほら、着きましたよ」

エレベーターを出て、お祭りへ向かった。