痛いの飛んでけ ページ5
特訓をはじめてから一ヶ月が経った。クロロによるスパルタ授業のおかげで練の制度は格段に上がり、最近は必殺技のヒントを掴むべく単独練習をすることが多くなった。
今日は天気がいいので課外授業という名目で、見晴らしのいい丘の上まで行き、体をおもいっきり大の字に広げて日向ぼっこをしていた。
ソラ「A、クロロが日没までには帰れって」
気が付くとソラがいつの間にか私を見下ろすように立っていて、風が彼の灰色の髪を撫でるように通った。普段は前髪に隠されて見えない彼の綺麗な目が大の字の私を見ていた。
「了解。よくここにいるってわかったね」
ソラ「僕もたまに来るから、ここ」
彼が横に腰掛けたから、私は大の字に広げてた手と足を引っ込めて座り直した。
一ヶ月経って、ソラは私の名前を普通に呼んでくれるようになり、自分から隣に座ってくれるようになった。こんな風に雑談できるようになったのもかなりの進歩だと思う。正直、こういうのは普通に嬉しい。
ソラ「ていうかA、特訓のフリしてサボってたでしょ」
「違うよ、ソラと仲良くなれて良かったなって考えてたの」
ソラ「…僕は誤魔化されないよ、そういうの」
本心なんだけどなぁ。まぁいいや、
「はは、クロロには内緒ね」
笑って誤魔化そうとするとソラはそっぽを向いた。相変わらずガードが恐ろしく固い。ダイヤモンド級だ。
ソラ「初めて会った時さ、」
あ、話乗ってくれるんだ。
「うん」
ソラ「僕が財布盗ったの、Aは気付いてたよね。それでもすぐに取り返そうとしなかったのって、何で?」
救いたいと思った、なんて言えないな。だって私の心の中には正義感でさえ汚い感情と共存してる。
「…同情したの。殴ってもいいよ」
私はずっと、子供のままでいるんだと思ってた。でもいつの間にか、走ってきたソラの渇いた目と目が合った一瞬、『あ』って思ってしまった。
ソラ「……殴らないよ。綺麗な言葉で言われる方がムカつく」
「…いいの?今を逃せば多分一生殴れないよ」
ソラ「…それならやっぱり殴っておこうかな」
「ブー!時間切れ!」
頭突きを喰らった。
「じ、時間切れって言ったのに……」
世界中に聞こえるんじゃないかってくらいのゴチン!!って音と衝撃に、しばらく目を回した。このショタ、武道派である。
ソラ「Aがからかうから…」
同じく痛そうに自分の頭を抑えるソラを見て、
つい笑った。そりゃ、あんなに思いっきりいったら痛いでしょ!
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ナツメ(プロフ) - 緑那さん» 緑那さんはじめまして、作者のナツメです〜〜\(^_^)/私も緑那さんのコメントを読みながらどきどきしちゃいました…!!めっちゃ励みになるし超嬉しいです〜〜(;_;)本当にありがとうございます!これからも頑張るのでぜひ読んでいただければなと思います! (2019年6月25日 20時) (レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
緑那(プロフ) - はじめましてコメント失礼します……!興奮しすぎてまとまってない感想を殴り書きしたら普通に文字数オーバーだったのですごく簡単になってしまうのですが、読んでるあいだずっとどきどきしてました。自分でもびっくりです読んでてめっちゃわくわくしました……!! (2019年6月25日 17時) (レス) id: 3c1948d3a1 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - すーさん» わー!!ありがとうございます!頑張ります\(^_^)/ (2019年6月14日 6時) (レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
すー(プロフ) - 続き待ってます! (2019年6月9日 13時) (レス) id: 53cfd44f92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナツメ | 作成日時:2019年5月25日 23時