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各駅停車 ページ35

「そんなの言うのシャルだけだよ。私さっきからずっと“相変わらずだな!!”って言われてばっかりだったのに」

シャルナーク「ううん。変わったよ。雰囲気がこう…なんて言うか…優しくなった」

「優しく?」

シャルナーク「うん」

「…そっかぁ。なんか照れんね」

Aは照れくさそうにはにかんで、 車の扉を閉める。あー…その顔駄目だろ。気付いてもらいたくなる。

シャルナーク「俺ももっと、優しくなりたいんだけどなぁ」

「人類皆に優しくなんてならなくてもいいよ。それに、優しくするのが当たり前になんて、ならなくていい」

シャルナーク「違うよ。Aにってこと」

「え?」

シャルナーク「びっくりした?」

「いや、まぁ…うん。だってシャル、充分過ぎるくらい優しいのに…もしかしてわかってないの?」

彼女があまりにも驚いたように言うから、バツが悪い。

シャルナーク「わかってないのはAの方だよ」

首を傾げるAの手に、自分の手を重ねた。自分が勢いで動いているのは頭の何処かでわかっていて、こうでもしないと言えないということも何となく理解していた。

「どういうこと?」

シャルナーク「…知りたい?」

何が入ってるかわからない箱に手を突っ込む時みたいな空気が二人の間に流れているのがわかる。彼女は俺を真っ直ぐに見たけど、その表情に怯えとか躊躇いはなかった。

「うん」

彼女は、いつもそうだ。暗くて怖い場所に一人でも突っ込んでいくし、その先に光があるのを教えてくれる。俺は彼女のそういう真っ直ぐなところが好きだ。自分もそんな風に自由になりたいと思って、伸ばした手を彼女はあの時、笑顔で掴んでくれた。
いつの間にか彼女に置いていかれたような気がしていたけれど、歩みを止めていたのは俺の方だ。

でも、そんな俺だから今、感情に任せて言っていいことなんて何もない。

シャルナーク「やっぱり、俺が言いたくなったら言うよ」

彼女の手を離して、ハンドルを握る。こんな時に言うなんてズルい。ずっと好きだったのに、勢いだけに任せるなんて馬鹿馬鹿しいじゃないか。


「わかった。待ってる」


その一言に、また少し、気持ちを募らせた。

暗くて、静かな夜道に車を走らせる。彼女は相変わらず何を考えてるのか読めない表情で、窓の外を見つめる。
そんな横で俺は、安全運転で逃げたわけじゃないと、自分に言い聞かせていた。

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ナツメ(プロフ) - 緑那さん» 緑那さんはじめまして、作者のナツメです〜〜\(^_^)/私も緑那さんのコメントを読みながらどきどきしちゃいました…!!めっちゃ励みになるし超嬉しいです〜〜(;_;)本当にありがとうございます!これからも頑張るのでぜひ読んでいただければなと思います! (2019年6月25日 20時) (レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
緑那(プロフ) - はじめましてコメント失礼します……!興奮しすぎてまとまってない感想を殴り書きしたら普通に文字数オーバーだったのですごく簡単になってしまうのですが、読んでるあいだずっとどきどきしてました。自分でもびっくりです読んでてめっちゃわくわくしました……!! (2019年6月25日 17時) (レス) id: 3c1948d3a1 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - すーさん» わー!!ありがとうございます!頑張ります\(^_^)/ (2019年6月14日 6時) (レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
すー(プロフ) - 続き待ってます! (2019年6月9日 13時) (レス) id: 53cfd44f92 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナツメ | 作成日時:2019年5月25日 23時

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