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無自覚ページ28

シャルナーク「……嘘つき」

電話口で不貞腐れたようにそう言うのはお久しぶりに登場するシャルである。

「ごめんごめん、忘れてたわけじゃないんだってば」

搭乗する予定の飛行船を待っている間、彼からの電話に応える。現状を説明したところ、これである。

シャルナーク「試験終わったらアジトに顔出すって言っただろー！？俺すっかりそのつもりでいたのに！」

はは、怒ってる。ホールケーキでも用意してたのか？いや、しかし……

「へへー、そんなこと言ったっけなぁ……」

いや、試験終わったらアジトに行くなんて言ってないよな……？……あれ、言ったか？
それとなく覚えがない旨を伝えてみると、彼は電話の向こう側で一層声を荒げた。

シャルナーク「馬鹿！！怒るよホント」

もう怒ってるじゃん……

シャルナーク「団長の用事ばっかり優先して……ズルい」

「うーん……あ！もう行かなくちゃ。じゃあまた連絡するから！」

いいタイミングで飛行船の準備ができたとアナウンスがかかった。怒られるのは御免だ。

シャルナーク「え、ちょっ！まだ話終わってないんだけどっ」

ピッ、という電子音が彼の言葉を遮る。危なかった。私が最後に言った『また連絡する』というワードと、上空の電波環境の問題からしてしばらく電話はかかってこないだろう。
しかしズルいのは彼の方ではないだろうか。うん。絶対そう。あと私は馬鹿ではない。