六等星 3

今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:42,545 hit

番外編クロロ 3 ページ18

報告会とは、こっちの世界で色々とうまくやるために重要組織の頭が五つ、首を揃えて１つの場所に集まるというファミレスのパフェや遊園地のパレードよりも豪華なビッグイベントだ。これが行われる時はたいてい情勢が安定していない。私も興味本位で行こうとしたことはあるが、強そうな強面の厳重警備で建物の中には入れてもらえなかった。

「へぇ、何かあったの？」

エド「まぁ簡潔に言えばお前さんの仕業さ。モランが潰れて残ったシマを誰が取るかで揉めてる。話し合いで妥協してピザみたいに五等分に切り分けるわけにもいかねぇ。お互いに自分の組の立場を確立しようと白熱していた！中々の見物だったぞ」

エドはその風景を思い出しているのか、愉快そうに笑う。一番やばいのはこいつだ。

「ふーん。大変そうね。さて、ここから本題。私も簡潔に言う。仕事の紹介してほしいの」

頼るなら無数のヤクザとのパイプを持っているエドだ。本当は自分で選びたかったけど、この際もう贅沢は言わない。

エド「そんなことだろうと思っていた！」

「なら話が早い！やっぱり恩は金を払ってでも買うべきだ！」

エド「だがしかーし！！私は表面上、お前の手助けはできないことになっている」

「はあぁぁぁぁ？」

体の中の空気を全部吐き出すくらいに息を吐く。まったく意味がわからない。

エド「今はもうどこの組もお前を雇うのは御法度だ。昨日全員一致でそう決まった」

「何で？私何も悪いことしてないじゃない」

言うと、エドとクロロの二人からじっと視線がおくられる。クロロは相槌１つせずずっと黙って話を聞いていたが、だいたいの状況と私の境遇はもうきっと把握しているのだろう。そんな顔だ。

エド「しかし何であれ、奴等が決めたことは絶対だ。私がお前に紹介してやれる仕事はせいぜい、街外れのパニーニ屋くらいだな！」

「はぁ……そりゃないよエド。そんなとこで働くくらいなら街でピエロの格好してガキに風船配るほうがまだマシだ」

クロロ「(普通そっちのほうが嫌だけどな……)」

でも、これで完全に金儲けの道を塞がれた。金儲けの道を塞がれたってことは、間接的に生きる道も塞がれているということだ。ヤクザ全員が相手なら抵抗の仕様もない。これは……じっくり考える必要があるな。

エド「相変わらずワガママだな。まぁ、じっくり考えるといい」

ひとまず一人になって考えてみよう。

「ちょっとトイレ貸して」

私はクロロに目配せをしてから席を立った。