番外編 繋がろう 4 ページ14
「くっそ！！ふざけんな！」
と言い、ガシャン！！と力任せにガンショップ・エドワードの重たいシャッターを蹴り飛ばす。これでもかというほどデカい字で“臨時休業”と書かれた貼り紙が衝撃でひらりと地面に落ちた。俺は後ろでついてないやつだな、と喉の奥で笑う。
クロロ「さて、どうする？」
「……昼飯」
あ。ほんとに奢ってくれるんだ。
クロロ「…今更だけど、本当にお金持ってるのか？ほぼ手ぶらだけど」
怪しく思って聞くと、Aは麻薬の密売人みたいに上着を捲って、内ポケットに入った札束を覗かせた。
「失礼なやつだな。ほら」
100万ジェニーという見たこともないような大金を目の当たりにしても、俺は案外落ち着いていた。それ以上に価値のあるものがもうここにいたからだろうか。
「店は君が決めて」
ズイッと無理矢理持たされた地図を広げて、飲食店を探す。この地図には中華料理屋とファミレスの二軒しか載っていなかった。見た目子供の俺達にとって、中華料理は敷居が高く感じたので俺はファミレスにすることにした。
クロロ「決めたよ」
「じゃあ行こう」
さっきとは違ってAは前に行きたがらないから、俺が地図を見ながら先導する。女の子って気まぐれだし、気持ちが全然わかんねー。こればかりは男だから仕方ないけど。
「普段何食べてるの？」
クロロ「別に、パンとか代わり映えしないもの」
「つまんなー」
クロロ「じゃあ君は？」
「人肉とか犬」
クロロ「……わぁ」
「嘘だよ、血生臭いものは食べない」
こいつならもしかして…と妙に納得できる。どうやら嘘のようですけど。
俺の反応が思ったのと違ったのかAは話題を変えて質問から入った。
「らぁめんって知ってる？」
クロロ「存在は知ってる。見たことないけど」
「あれ、美味しいよ。今から行く店にあるかはわかんないけど」
残念。俺は中華料理屋には行きません。
クロロ「他に何が美味しい？」
Aは俺から質問すると必ず嫌そうな顔をする。
「…君って温厚で弱腰を装ってるけど、時々育ちの悪さが見え隠れするよね」
わかったこと。ラーメンが好き。自分のことを知られるのに何となく抵抗がある。こいつに純粋な部分なんて一ミリもない。消し去られたのか、自分で隠してるのかはわからないが、きっと他人に心を許さずに生きている。
クロロ「まぁ実際、育ちが悪いですから」
けど、残念でした。出会ったのが運の尽き。きっとお前は自分から心を開いて俺の仲間になる。
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作者名：ナツメ | 作成日時：2018年11月19日 18時
