弓引きて、出逢ふ仲間 (ページ22)

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21話ページ22

練習終わりに雅兄と少し話した

滝「A、最近家ではどうなんだ？」

「普通だよ。
なぁんにも変わってない」

滝「…そうか。
辛くはないか？大丈夫なのか？」

「辛くないし全然大丈夫」

雅兄は私の家の事情を知っているし昔から私の面倒を見てくれていたので何でも話せるお兄ちゃんみたいなものだ

滝「ほら、送ってくから帰るぞ」

「…大丈夫だよ」

滝「いいからいいから」

暗い中従兄妹を置いて帰るほど馬鹿じゃないと雅兄は笑った

「そこまで暗くないよ」

滝「ったくお前は本当に可愛くないな」

「可愛くなくても弓は引けるもん」

滝「ははっ本当に可愛いなお前は」

さっきと言ってる事違うし…。
雅兄はただ頭を撫でる

「帰りたくない…」

ふと足を止める

滝「ダメだ。
叔父さんが心配するだろ？」

「しないよ絶対に」

滝「こらA」

咎める雅兄に無視して私はまた歩き出した

(雅兄に余計な心配かけちゃったな…)

今は本当に楽しい
一緒に弓道をする新しい仲間が出来て笑って笑って…仲間がいるのはこんなに寂しさが無くなるものなんだって初めて分かった

「雅兄、私今本当に楽しいよ」

滝「そうか…」

また家に着いた

「雅兄、父さんに見つかる前に帰った方がいいよ」

滝「…そうだな。また明日」

「うん、ばいばい」

父さんに雅兄と会っていることがバレたらきっと怒られる。

いつまでも過去に縋るなとそう言われるだろう

「ただいま」

誰も返事を返してくれない家にまたそう言った

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