弓引きて、出逢ふ仲間 (ページ7)

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6話ページ7

自身の鞄のポケットから鍵を差し込み回す

ｶﾞﾁｬ

「…ただいま」

中は明るく人が居るはずなのに「おかえり」という声は全く聴こえない

そんなのにももう慣れた
手を洗い2階へ上がると部屋の前に夕飯が置いてある

(また一人か…)

別に其れは問題では無い。
問題はその後だ。此処に夕飯が置いてあるという事は今日は下に降りるなという事を示している。だがそういう訳にも行かない。お風呂にも入りたいし母の仏壇に手も合わせたい

(仕方ない、明日にするか…)

夕飯は冷めている。
食べる気にもなれないが食べないと後が怖いのもある。
お風呂は後で入るとして…先ずは予習かな

ｶﾘｶﾘｶﾘ

(ここの範囲苦手かもなぁ)

数学を解いていると何回か躓く
ここら辺は後で参考書を買って復習しよう

ｶﾞﾁｬ

なんの脈絡も無く部屋の扉が開いた
ノックもせず開けるのは家で一人しかいない

「…父さん」

玄「帰ってたのか」

そりゃ帰るでしょうよ
寧ろ帰るなって？

玄「また弓道部か」

父は私が部屋に置いてある弓を見て呆れるように溜息をついた

「そうだけど」

玄「もっと大学に有利になる競技にしろと言ったはずだが？」

威圧がある声で私を射抜くように見る

「私は弓道しかやらない。
これから先もずっと私は弓道一筋だから」

玄「何でもいいが成績だけは落とすなよ」

それだけ言うとあっさりと部屋から出て行った

「誰が落とすか」

落としたらもう弓道は出来ない
私以外誰も居ない部屋で一人溜息をついた