第27話 本当の意味での友人 ページ29
「お前に弟が居るの知らなかった」
夕食が終わり、談話室には片付けをしている私とテレビを眺めている五条のみが取り残されていた。
硝子は部屋に戻り、真琴と夏油は二人揃ってお風呂に入りに行った。
真琴は一日で随分と夏油に懐いてしまったと少し寂しく思う。
五条は視線をテレビに向けつつも私に言葉を発した。
「会合にも来ないだろ？」
「…そうね。
あくまでも、私以外の弟三人と母は“八千草家”に保護されているから、会合にも当然姿は見せないし、あの子達は呪術界では居ない存在として扱われているのよ」
「…お前は？八千草だろ？」
「…私は八千草だけれど、立ち位置としては“鳴神”よ」
「はァ？あぁ、そういや、鳴神家の人間として会合に参加してたな」
「まぁ、色々と面倒臭いの。
鳴神も八千草も私の力は欲しいのよ。
でも、八千草の力じゃ鳴神の力には勝てなかった。
だから、形式的な場で私は“鳴神家”の人間として扱われてる」
オ゛ッエーと吐きそうな顔をしながら五条は顔を歪めた。
これは半分嘘だ。
八千草の力が無力だったのは認めるが本当は父と“縛り”を結んだからだ。
鳴神家の為に力を使い、従順になること
さすれば弟達には手を出さないし名字は八千草を名乗ることを許可すると
「鳴神の兄弟つったら茶髪の男と白髪の俺達とタメの奴だろ？」
「そうね」
「仲良いのか？」
「…真逆！
私は側妻の子よ。
話すらしないわ」
「ハッ！クソじゃん」
「クソよ」
「俺、鳴神家ってぶっ潰したいくらい嫌いなんだよな」
「知ってる」
命狙われたものね。
笑ってやれば五条も笑う。
「正直お前も鳴神家と繋がりあるから警戒してたしさ、クソみたいな奴だと思ってた」
「最強のくせにそんな事にビビってるの？」
「うるせぇ、明日覚えてろよ」
笑い合う。初めての事だった。
物騒な言葉を交わしつつも私達は笑みを浮かべている。
「結局、お前は鳴神と何も関係ねぇのかよ」
「関係が無い…とは言いきれないけど、私は鳴神家嫌いよ」
「うっわ！いい子ちゃんはどうしたよ！」
「いい子？呪術師やってていい子なんている訳無いでしょ」
私は五条を絶対に殺したりしない。
それだけは確信出来る。
最強だからでは無い。
ただ、彼等といる時間が楽しくて愉快で仕方ないのだ。
そしてこの日、本当の意味で
私と五条は友人になった。
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卯月@スイ(プロフ) - ナッツさん» コメントありがとうございます！！がんばりますね！ (2021年1月20日 7時) (
レス) id: 6ffd6a43ea (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - ニヤニヤしながら見てしまいました(^^)更新楽しみにしていますっ！ (2021年1月19日 22時) (レス) id: 528660073f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卯月@スイ | 作者ホームページ：http://weareasas
作成日時：2021年1月14日 15時
