- 緑 ページ4
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震える手、俺が、人を殺 した。それも仲間を、今まで切磋琢磨してきた大切な仲間を。
ガクガクと動く手に重なったのは、俺が求めていた確かな温もりだった。
「…神ちゃん、怖い？」
「…怖くない、よ」
「嘘、こんな震えてんのに」
そういうと、固まったままの俺の体をゆっくりと包み込んでくれた。
「ありがとう、助けてくれて」
「けど、ターゲットの俺を殺 さずに、仲間をやるなんて、アホやなぁ神ちゃんは」
「ここで俺が連れてかれてたら、神ちゃんは元いた場所へ戻ることが出来たのに」
確かに、そうだった。
大毅を殺 ることが出来なかったから、戻れなかった。けど、俺が殺 めるまえに連れていかれてたら、俺の手を汚さずに、戻れていたはずなのに。…けど、けどもう。
「…大毅が隣におらへんのに、戻っても意味無い」
「大毅…俺、大毅といっしょにいたい」
「大毅が、大毅のことが…」
言わせまい、とでも言うように口を大毅の手によって覆われた。
「…あかん、あかんよ。俺じゃ、神ちゃんを幸せに出来ひんから。神ちゃんは普通の生活にもどるねん」
「何勝手なこと言うてんねん、あほ！」
大毅の言葉にムカついて、声を荒らげると驚いた顔でこちらを見る。
「今更離れるやなんて…大毅が俺のこと、ここまで惚れさしたんやろ。責任取れや！」
「俺は、何があっても離れへん。一緒に歳取られへんくても、大毅のそばにずっとおりたい」
そう言うと、誓うように大毅の唇に口付けを落とす。唇を離すと大毅は困ったように笑って、俺を抱きしめた。
「あほやな、神ちゃんは。」
「大毅も、あほや」
「んは、そうやな。おれら2人揃って、ほんまあほや」
「…神ちゃん、離れたい言うても、もう離さへんで？」
「離れたいなんか、言うわけないよ。ずっとずっと、傍におる」
いっしょに歳をとることは出来ないけど、それでもあなたのそばにいたいから。
俺は今日もまた、あなたの傍で、時を重ねる。
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作者名：ル | 作成日時：2023年3月9日 10時
