95. 幸せの契約 ページ45
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書いていたら玄関の方でドアが開く音がして、頭をぽりぽりと掻きながら寝起きのジョンウが入ってきた。
『私キムジョンウは 自己の幸福を第一に考え
以後も持続的な幸福を追求することを誓約し
モモとの交際を終了する。』
この際ここまでやってやる。
ふざけ半分、本気半分。
署名捺印欄を作ろうと線を引いていたら、後ろからジョンウがのぞこきこんできた。
「…なにこれ？」
「契約書。…できた！名前書いて！」
「え？」
ジョンウに名前を書かせて、朱肉にジョンウの親指を押し付ける。
「あ！この親指の主人は俺なんですけど」
「いいから」
そのままその親指を紙に乗せて上からぐりぐりと圧をかけると、彼は不思議そうにそれを眺めた。
「モモさん、契約内容が不透明ですねー」
「彼女が私じゃなくなっても絶対に幸せになりますっていう契約書。どうしても私と別れたくなったら、これ出せば別れてあげる」
「失くしちゃったら？」
「一生別れられない。死ぬまで私に引きずり回される」
「ていうかなんで別れる前提なの」
「も！し！も！」
ふふ…と小さく笑って、「へーんなの」と呟いたのが聞こえた、けど聞こえないふり。
私はいつだって本気だもん。この契約書は、こんなのいらないくらい私が頑張るぞという私の覚悟でもある。
けどそんな私の覚悟を、ジョンウは一瞬にして粉々に破いた。
目の前でびりびりびり、と音を立てて何等分にもなっていく契約書。
犯人のジョンウはいたずらっ子みたいに笑ってる。
「あ！せっかく作ったのに！！」
「だってさあ俺の幸せはモモじゃないと満たせないもん、こんなのいらない」
「…いやいや…」
「…あ、おれは死んでも別れてあげないけど我慢してね。書面は無し。ブラック」
「こわ…」
「大丈夫大丈夫ちゃんと幸せにするから。俺のことだけ信じときなさい」
私、前の彼氏とはこんな空気じゃなかったし、なんならバカップルを軽蔑すらしてたのに。
なんだ、こんなに幸せでいいんだ。
テーブルの上にばらばらに散りばめられた契約書をジョンウがかき集めてゴミ箱に捨てると、同時にお湯が沸いた音がして、そのまま彼がキッチンへ向かう。
「俺こっち食べていいの？」
「いいよ。とっておいたんだもん」
「やった」
私が選ばなかった方のカップ麺を私に見せながらニコニコと笑っているジョンウを見て、何故か泣きそうになった。
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もゆ - 神作品の記念すべき400票目の投票をさせていただきました…！2作品分？一気に読んだのですがもう、他ペンの私から見てもジョンウってこういうあったかい人やんね〜っていう謎の共感?!というか人柄が綺麗に表現されてて感動しました！ありがとうございました！！ (2021年5月21日 0時) (
レス) id: a156f1d191 (このIDを非表示/違反報告)
Sar - やっぱり天才です(涙) (2021年5月10日 16時) (レス) id: 3eb67c9a03 (このIDを非表示/違反報告)
peko(プロフ) - はじめまして！面白くて一気読みしてしまいました！(笑)結末まで可愛いのがさすがキムジョンウ！ってなりました！！キュンキュンもありモヤモヤもあり…でもキュンキュンさせてくれる素敵なお話でした！どうか結婚まで…と続編を希望してます！笑笑 (2021年4月29日 21時) (レス) id: a8c9f227dd (このIDを非表示/違反報告)
ハリ(プロフ) - ろんさん» ろんさまお返事遅くなって申し訳ありません(TT) その一言が頂けたことが最高にうれしいです…楽しんで頂けたなら本当に良かったです。読んでくださってありがとうございました(TT) (2021年4月21日 21時) (レス) id: 86d42c940d (このIDを非表示/違反報告)
ろん - 凄いきゅんきゅんしました（しあわせ） (2021年4月9日 20時) (レス) id: 687bfe2f8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハリ
| 作成日時：2020年12月18日 12時
