二人の繋がり ページ29
「ロミジュリ公演始まる前!?」
いづみの驚愕の声が203号室に響く。
三角の話が本当ならば、彼は少なくとも一ヶ月以上はここにいるという事だ。
ほぼ一緒に暮らしていたと言っても過言ではない。
だがそんな彼女の驚きも、この三角という男にとってはさほど影響がないらしく。
「窓、空いてたから入れたよ〜」
彼はのんびりとした口調のまま、未だ笑顔を絶やさずにいる。
とはいえ、彼は一体どんな運動神経をしているというのか。
二階ほどの高さを登ったとなれば、もはや身体能力以前の問題だろう。
「セキュリティ大丈夫かな……」
疑心を抱く幸と支配人が話している中で、いづみは先程からずっと気になっていた三角の両手に意識を集中させる。
「ねぇ……三角くん」
「……!!監督、名前呼びなんて手が早すぎる」
この際真澄は置いておくとして。
いづみは三角の両手に握られたある物を指さした。
「その両手のおにぎり、どうしたの?」
それ多分うちの寮のお米だよね?
尋ねると、見せつけるように頬の前までおにぎりを寄せる三角。
そして次の一言によって、いづみの疑惑は確証へと変わった。
「これ?これはね〜、Aが作ったやつ!」
幸せそうに、嬉しそうにその名を口にする。
「え!?」
「はぁ!?」
「マジ!?」
対するいづみを除いた全員は突如現れた速水の名前に戸惑いを隠せず、真澄でさえ理解が追いつかないとばかりに眉を寄せた。
「やっぱり……」
やはり速水が絡んでいたらしい。
目の前の事実に、呆れたとばかりにため息を零すいづみ。
「ちょっと、どういう事?」
幸に睨むように尋ねられ、痛む頭に手を抑えながらも解説をする。
「これだけの物音がして気づかないAくんじゃないもの……あの辺に落ちてる家具とかもAくんの部屋で見た事あるし……」
「あぁー、確かにそうですね」
「俺もある」
いづみは個人メニューの相談に、真澄は至の件で集まった時に。
また支配人は掃除で。
それ以外にも彼の部屋に顔を出す事は何度かあった為、所々に落ちている家具や道具に三人は心当たりがあった。
「そ、それでAさんとはどんな関係なんですか?」
怯えつつ、皆の後ろから顔を覗かせた椋。
彼の問いに、三角は幸せそうに目を細める。
「Aはね、初めてじいちゃん以外に俺を見つけてくれた人。これは、俺にとってすっごく大事なさんかく!」
その視線の先には、腰にあるチェーンから繋がれた三角定規とキーホルダーがあった。
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祐(プロフ) - 梨さん» 同じ推しの方に出会えてポンコツ厨の私大歓喜です\( 'ω')/バッ いいですよね.........え、おま、監督に惚れ、ちょ、チョロ〜!!ってなった瞬間彼が推しになりました(昇天) (2018年8月12日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
祐(プロフ) - おんぷさん» コメントありがとうございます!グダグダで薄っぺらくならないよう気をつけてるのでそう言って頂けると励みになります!応援感謝です\( 'ω')/バッ (2018年8月12日 22時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
祐(プロフ) - アイトさん» コメントありがとうございます!この作品に時間を割いて下さった上に面白いと言って貰えてとても嬉しいです!頑張らせていただきます\( 'ω')/バッ (2018年8月12日 2時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
梨(プロフ) - まさかの最推しが同じでとても嬉しいです……ポンコツ尊い(クソコメ失礼します) (2018年8月10日 1時) (レス) id: f85cb309ef (このIDを非表示/違反報告)
おんぷ(プロフ) - 毎回、更新のたびに楽しく読ませていただいております!ペースがゆっくりな分、内容が濃いし面白いので、このまま続けて欲しいなと私は思います!これからも頑張って下さい。応援しております! (2018年8月10日 0時) (レス) id: 7e9d265bdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:祐 | 作成日時:2018年7月19日 1時