【A3!】舞台から落ちたら演劇の世界にいました４

悲劇の前触れ ページ25

｢こっちな｣

寮に着いた俺達は、そのまま綴の案内に従い監督さん達のいる談話室へと集まる。

因みに、天馬は俺に頭を撫でられたのが相当恥ずかしかったようで。

『どうだ凄いだろ！』

『あ、うん凄い凄い』

ここに来るまでの間、ずっと照れ隠しとも言える自分の武勇伝を語っていた。
幸が口を挟んでくれなきゃいつまで続いてたことか。

やっぱちょろすぎて俺は不安しかない。

｢寮ってこんなに広いんだ……！｣

｢皆おかえり！早かったね！｣

それぞれが寮の感想を口にしていると、笑顔の監督さんが出迎えてくれる。はい可愛い。

テーブルの上にはお菓子や飲み物が用意されていて、先に準備をしてくれていた事が分かる。
できる女の人最高。

｢じゃあ俺、用事あるんでこの辺で｣

｢うん！ありがとね綴くん！｣

｢うっす｣

案内を終えた事で、役目が終わったとばかりに談話室を後にする綴。
俺からもマジでありがとう、夕飯楽しみにしとけ。

｢イエー、今日からここが俺の家ーーっと｣

｢スタジオにでも住み着いてんじゃない？｣

｢なんでだよ！｣

｢はい、皆部屋割りするから集まって｣

好き勝手に話す四人を集め、全員ソファーへと座らた監督さん。
部屋の内訳を手際よく説明していく。

(大丈夫そうだな)

皆が落ち着いたのを確認して、俺も支配人と掃除を代わるべく監督さんに声をかけた。

｢俺支配人と掃除代わってきますね｣

｢あ、ちょっと待って｣

出て行こうとして咄嗟に呼び止められる。
なんでも一成と椋の部屋を、俺の使っていた202号室にしたいらしい。

言っておかなかった事を監督さんに謝られ、俺は大丈夫とばかりにひらひらと手を揺らした。

｢ああ、あの部屋なら皆使うと思って昨日空けといたんで｣

｢え、いつの間に！？｣

｢今日の朝にちょっと。とりあえず204号室に移動しました｣

勝手にすみませんと謝ると、むしろありがとうとお礼を言われた。
元々は二人の部屋だし当然だ。

｢なら俺203号室｣

｢俺も｣

談話室を出る時そんなやり取りが聞こえたが、嫌な予感がしたので聞かなかった事にした。

＊＊＊＊

｢お待たせしました｣

｢いえいえ！お願いします！｣

中庭にて、夏組部屋の布団を干していた支配人と役割を交代する。

ヘマしてないか心配だったが、無事にシーツも洗えたらしい。

｢よし、やりますか｣

伸びをして、布団同様シーツを干していく。

ーーーこの時の俺はまだ知らない。

｢Aーーー！！！｣

後に降り掛かる悲劇に。

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