いつか来るその時まで ページ40
三角の口から少しずつ零れる、おじいさんとの思い出。
芝居を教えて貰ったこと、芝居が大好きな人だったこと、定規を使うほど几帳面な性格だったこと。
ーーーそして、唯一三角の事を見放さなかった事。
「だからこれが、俺のいちばん大事なさんかく」
なんて言いながら、定規を俺に見せた三角は凄く優しい顔をしていて。
「三角は本当におじいさんが大好きなんだな」
知ってはいたけど、改めてそう思った。
「うん。そうだよ〜」
「そっか。この劇団に来たのも……」
「じいちゃんがいた劇団だったから」
「……そっか」
俺からすれば、正直そういうのはかなり羨ましい。
俺の場合尊敬はしていてもそこまで両親大好きって感じとかなくて普通だったし、写真とか形見は全部向こうに置いてきちゃったし。
……そもそも俺、戻れるんだろうか。
こればかりは考えても仕方が無い事だけど。
「来てみたら窓が空いてて。そしたら、Aが俺を見つけてくれた」
「見つけたって、そんな大げさな……」
言っちゃえば俺お前の事知ってたし。そもそもお前の方から壁叩いてくれたからっていうか何ていうか。
「大げさじゃないよ。Aは、おれに帰る場所をくれたから。おれから、離れないでいてくれるから」
Aはじいちゃんやさんかくと一緒!
だからおれ、Aの言うこと信じる!
笑いながら、手にしたのはプラスチックで出来た小さな三角。
「……っ」
ーーー俺が三角と出会った頃に上げた、二番目に大切にしてくれてるキーホルダー。
「……そんな、」
三角の手にあるそれが、その言葉が。
まるでこの世界に来てからの俺を肯定してくれてるような気がして。
それを見て、言葉にならない謎の感情がこみ上げる。
「離れないでくれるとか、そんな事言うなよ……!」
それじゃまるで、俺が仕方なくお前から離れずにいるみたいだろうが。
「俺は俺自身がいたくてお前といるんだから……お前が好きで一緒にいるんだから、そんな事言うな」
「A……」
帰る場所をくれたとか、それを言うなら俺の方だ。
俺が悩んでた時、三角にどれだけ助けられてると思ってるんだよ。
「これからも、おれといてくれる?」
「当たり前だろ。そんなの」
それに俺なんていなくても、お前にはこれから沢山仲間が出来るから。
「おれもずっとAといる!」
「うん。……よし、さっさと作って終わらすぞ」
俺がいつかいなくなるその時まで、三角の帰る場所は俺が絶対に守ってやるからな。
1327人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
祐(プロフ) - こずめさん» お返事遅くなりました!(名前変わっててすみません)もう文章からこの作品を好いてくれてるのが凄く伝わってきます私も貴方様が好きですありがとうございます。夏組編もよろしくお願いします! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - みかさん» お返事遅くなりました!本当ですか!?みかさんのA3!との出会いに関われたなんて嬉しいです!この作品書いてて良かったです・゚・(つД`)・゚・ (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - イオリさん» お返事遅くなりました!そう言って貰えて凄く嬉しいですヽ( ´ ▽ ` )ノ私も夏組大好きです! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - 翔香さん» コメントありがとうございます!大変お待たせ致しました!またこれからゆっくりではありますが続ける所存ですのでよろしくお願いしますヽ( ´ ▽ ` )ノ (2018年7月19日 16時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - Lilyさん» コメントありがとうございます!初期の頃からずっと支援してくださっていたなんて嬉しい限りですヽ( ´ ▽ ` )一応冬まで続ける所存ですので、これからも読んでやってくださいませ\( 'ω')/バッ (2018年7月19日 12時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:祐 | 作成日時:2018年3月13日 10時